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童年往事 時の流れのICHIのレビュー・感想・評価

童年往事 時の流れ(1985年製作の映画)
4.1
The Time to Live and the Time to Dieという英語タイトルが示す通り、意思とか理念とかと無関係に、コントロールできない生と死を淡々と時に冷酷に時にこの上なく美しく描く。父が死に泣き叫ぶ母の声に不安そうに振り返る主人公の少年のクローズアップが次の瞬間に太々しい不良青年に成長して、木の上でサトウキビを齧りながら金をむしり取ろうとする男を見つめる主人公ののショットに変わる、そのシーンを観て侯孝賢の凄さを感じ、オープニングに彼の名を呼び続け、ずっと彼に寄り添って来た祖母の冷酷な死とそれを放置して葬儀屋の男に睨まれる主人公の、倫理とか教訓とかを飛び越えた存在そのものをフィルムに焼き付けた彼の気迫に圧倒された。
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