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ジ・アリンズ / 愛すべき最高の家族のblacknessfallのレビュー・感想・評価

4.7
90年代からパンクにのめり込んでたから、G.G アリンの存在は知っていた。
ただ、ネットも発達してなかった当時、その壮絶無比な狂気のライヴパフォーマンスはマニアの人から聞いた話や雑誌やファンジンの記事で知ってただけなので、正直ちょっと疑ってた。

歌いながら脱糞して、それを自身の顔や体に塗りたくり、フロアで客に襲いかかるなんて、、確かにパンクやハードコアで客を殴るバンドは日本にも海外にもいるけど、排泄なんか聞いたことないし、ましてや排せつ物を塗りたくるなんて意味不明すぎるし、もはや狂人の行動だし笑

これが全部ガチだと確認した日のことは忘れられない。
当時、西新宿のロックショップでバイトしてたんだけど、この界隈はマニア向けのレコードショップなんかがたくさんあって、その中に海外のバンドのライヴビデオを売ってる店があってヒマな時は店を脱け出して試見ができたのを良いことに気になるバンドのライヴ見てた。
そこにG.Gアリンのビデオがあった。
ぶっ飛んだよ。倉庫みたいなとこにいっぱいパンクスがたむろしてて、そこにいきなり、糞らしきものを塗りたくったとおぼしき茶色ががった上半身裸の男が手に持ってるマイクを振り回しパンクス達の間に突進してきた!パンクス達は蜘蛛の子散らすように逃げまどう、、ライヴって言うよりスラッシャー映画のワンシーンなんだよ笑
衝撃的だったよ!マジで意味不明だし、しかも、こんな気狂い沙汰なパフォーマンスなのに曲はロウでキャッチーなかっこいいハードパンクなんだよ!

以来、G.Gアリンのファンになって片っ端から音源や映像を買い漁った。
意味不明に見える脱糞パフォーマンスもG.Gの中にはしっかり意味があるということも分かった(理解に苦しむが)。
要するにG.Gはそれが社会的なモノであれ性的なモノであれ、自身の曲やステージパフォーマンスで全てのタブーや抑圧への怒りと憎しみを表現してたんだと思う。

この辺のことは「全身ハードコア G.Gアリン」に詳しく画かれてるので興味をもった人はそっちを見てほしい。
なら、長々言ってんじゃねえよと思うかも知れないけど、この映画を語る時はまず、G.G アリンを語ることから始めるのが礼儀かなと思ったんで(でも、誰に対する礼儀なのかw)

この映画は稀代の狂気のパンクロッカーG.G アリンの家族である兄マールと母アリータの話。
93年にヘロインの過剰摂取で36才で急逝したG.Gの死に彼等はなにを思い、どのように受け止め今を生きてるかを画いたドキュメンタリー。

で、この映画にも色々色々言いたいことあったんだけど、なんか自分のG.Gとの出会いやG.G観を吐き出したら言葉が出なくなっちゃったよ笑
簡単に言うと、これはロック・ドキュメンタリーの側面もあるんだけど、最愛の家族に先立たれた遺族、かけがえのない者を失った人の心の痛みに焦点を当ててるから、パンクに興味ない人でも見ごたえのあるドキュメンタリーになってると思う。だからG.Gこと知らない人にも見てほしい。そしてG.Gのファンになってくれたら嬉しい😀

正直、劇場公開されて驚いた。一部でカリスマ的な人気があるとは言え、意外と正統派のパンク好きから気嫌いされてたりもするし、何より日本では知名度が低いので笑

日本で知名度が低いけどまったく人気ないわけじゃないんだよ。
SNSのアカ名にしたりアイコンをG.Gの画像にしてる日本人パンクスを時々見かけるし、みなさんのフォロワーにもそんなアホなパンクスがいるかも知れませんよ😀
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