アトミ

ラヴィ・ド・ボエームのアトミのネタバレレビュー・内容・結末

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

91点。

ゴミ箱を漁る酔っ払い。
紙の上で滑って転んで上唇辺りに怪我してしまう。
男は2本の瓶を拾ってBARへ。

BAR。
出版社が「戯曲は長過ぎる。短くしろ」とかほざくと愚痴る男。
バーテンはその戯曲が読みたいも言い出し、男はマルセル・マルクス作「復讐者」21幕劇を貸す。


翌朝。
アパート。
目覚めたマルクス。
立ち退き命令が壁に貼り付けてあるのに気づき(今日だった事を忘れてた)、タイプライターを窓外に隠し、荷物をまとめて部屋を出る。
待ち構えていた大家は3ヶ月の滞納を払えと迫るが「銀行に行かなくては金がない」と言い訳。ボディーガードのユゴー(犬みたいな感じ。知的障害者?)が銀行に引っ張って行く。

銀行。
通りがかった警官にユゴーの事を「怪しいヤツ」だと通報。警官がユゴーを捕まえてるその隙にトンズラ。

その頃。
アパートには新しい住人(音楽家)が到着。
と、大家(ベルナール)宛の国防大臣からの手紙も届く。それは「家賃が支払えない。家財道具を1年間預ける(法律上の権利)」というマルクスからの電報だった。

レストランバー。
マルクスは相席し、半身のマスを2つ注文。
が、相席してる男のマスがラスト。
男は「ご馳走する」と珍しい「双頭のマス」を半分に割る。

マルクスはお礼にワインを奢ると言ったが男(ロドルフォ。画家)は「コーヒーとツマミ」は奢ると条件に出す。
2人は意気投合し閉店時間まで飲んだ。

マルクスはロドルフォを自宅アパートへ招く。が、鍵が変わっており、中からピアノの音が聴こえる。
ノックすると中から自分のガウンを着た音楽家が現れる。マルクスは壁に貼り付けてある立ち退き予告を読み上げ、白々しく「立ち退きを迫られた俺の事」だと訴える。
音楽家は「法律上ココは俺の部屋だ」と主張。マルクスは「家具は俺の物だ」と主張。
ロドルフォは2人を落ち着かせ、ワインを注ぐ。


とある朝。
絵の具を切らしたロドルフォはマルクスの新居アパートを訪ね、1000フラン貸してくれと頼む。が、マルクスもすっからかん。
ショナール(音楽家)にも1週間会ってないからと冷たくあしらわれる(昨晩ナンパした女がベッドに寝ていたから)。

ロドルフォはショナールに会いに行き、金を貸してくれと頼むが今からデートだからと指輪だけ渡された。

質屋。
ロドルフォは指輪を質屋に。
2人の子に飯を食わせるためにと嘘をつき金をゲット。
絵の具屋に行ったが買わなかった。

夜。
ライブBARへ。
ロドルフォはカウンターに座る女性に一目惚れ。
と、ショナールが代わりにナンパしてやると女性に声をかけそのままゲットした。

ロドルフォアパート。
隣人を訪ねて来たという女性がドア前で待っていた。
隣人は3年の刑を食らってるからと自宅に招き、ベッドを譲る。愛犬と一緒に墓地で野宿。

翌朝。
ロドルフォはお供えのバラの花束を半分頂き、愛犬(ボードレール)と一緒にアパートへ戻る。
と、女性(ミミ)からの「宿を探します。ありがとう」との置き手紙を見つける。


そんな中。
アパートに「黒い上着」を貸してくれとマルクスが現れる。何でも「新聞王ガソー」と会えるチャンス(ファッション雑誌の創刊にあたり)があるらしい。
が、ショナールは「ガソーは右翼だから断れ」と忠告。が、マルクスは「右翼の左寄りだ」と反論。
と、グッドタイミングで黒スーツの男(砂糖工場社長ブランシュロン)がロドルフォに肖像画を書いて欲しいと現れる。
マルクスは「部屋着の方が締まる」と上手く言いくるめて上着を拝借。

マルクスはガソーと会い、企画をセールス。
戯曲を掲載し、登場人物が最新ファッションで彩るというもの。
ガソーは小切手を切る。

ロドルフォアパート。
マルクスはアパートに戻り上着を社長に返す。

夜。
BAR。
マルクスは1万5240フランゲット。
貧乏から足を洗うため一生懸命働くと誓う。
2人にも仕事の協力を求め、取りあえず明日から倹約生活(今日は高級レストランで打ち上げ)をしようと決める。

タバコ屋。
ロドルフォはナイトクラブに行く前にに立ち寄ったタバコ屋で店員となったミミと再開。
店終わりにミミを送る。
途中アパートに寄り、スープを作る(コーヒーが切れてた)。
こっそりボードレールのエサの骨を拝借し、出汁を取る。
窓から景色を見るミミに了承を得て、キスする。

ある日。
砂糖社長に肖像画を渡し1200フランゲット。ジャケットを50フランで買い、ミミを食事に誘う。
が、地下鉄で財布をスられてしまう。
食事代を支払えないロドルフォは警察に通報される。
と、隣りのテーブルの紳士が料金を支払ってくれることになり解決するが、アルバニア人であるロドルフォの不法滞在疑惑が浮上し、署に連行されてしまう。

留置場。
洗面台に手をついて立とうとしたロドルフォ。洗面台が外れ壊れる。
落ち込むロドルフォ。

翌朝。
ロドルフォは2時間後の飛行機でアルバニアに強制送還される事となる。
次密入国したら6ヶ月の監獄行きだと釘を刺される。
ロドルフォはミミの店にTEL。が、ちょっとの差で連絡取れなかった。
マルクスにTEL(行きつけのBAR)。ボードレールと絵を託すと連絡。
営業用中古車を手に入れてやって来たショナールに話をするマルクス。
ボードレールはマルクス。絵はショナールが引き取ることになる。

ロドルフォアパート。
荷物を車に積み込むショナール。
と、ミミが現れる。
マルクスはミミに訳を話し、去る。


春。
小さな事務所を構えたマルクスとショナール。事務員はミュゼット。
仕事も取れて今のとこ順調な様子。
と、外国人からのTEL。
マルクスはショナールと国境へ。

国境。
車のトランクの中からロドルフォ。
マルクスとショナールの差し金だった。
3人はパリへ。

アパート。
久しぶりにボードレールと再会したロドルフォ。大喜びのボードレール。

ロドルフォはミミの店へ。
が、フランシスという恋人がいることを店員から聞き、立ち去る。
が、マルクス達に車で送られ、再会を果たす。

ボロ屋。
ロドルフォはミミとボードレールと暮らす。
ついに長年かけて描いてきた「紅海横断」が完成。まあまあコストがかかってるから200フラン以下では売りたくない。
ミミは今に売れるわと応援するが、不法滞在を心配する。
と、コレクターに目覚めたという砂糖社長が現れ「やや大きめの絵」を注文。
ロドルフォは今完成した「紅海横断」を1500フランとオペラチケットで交渉成立。

丁度家賃くらいの売上。チケットはミュゼットとミミとで。
ロドルフォはマルクスに会いに行く。

オペラ座。
ニコニコオペラを見るミミ。
何が面白いかよく分からずミミをチラ見するミュゼット。

BAR。
マルクスは女性に貧乏からさせるのは酷。
せめて土曜日はショッピング、日曜日にはピクニックに連れて行こうと提案。
彼女の居ないショナールはその場でナンパ。


土曜日。
ショッピング。
マルクスは安く済む事を願う。
ショナールは結局彼女が見つからず運転手。


日曜日。
森へピクニック。
ショナールは何とか彼女を見つけ3カップルでくつろぐ。ボードレールも彼女ができたようだ。


ギャラリー。
ロドルフォは自分の絵を売り込みに行くがガードマンに追い返される。
が、へこたれないと誓う。


そんな中。
ガソーはマルクスに「きっかり2日後に前金を返せ」と要求。二度と顔を見せるなと言われてしまう。
マルクスの連載小説がモード雑誌に不向き。苦情が殺到。事務所は閉鎖されてしまう。
ショナールはとりあえずアパートにパンがあるからとみんなを誘い、新曲を披露(不協和音と、警告音の連続)。
疲れたミュゼットはマルクスと別れる決意。地元に帰って地主と結婚する。と。ミュゼットが指輪を質に入れ、ゲットした金でマルクスは本(バルザックの初版)を買う。それが引き金だった。

駅。
ミュゼットを見送るミミ。
ミミはバッタリ元カレに出会い、家まで送ってもらう。

翌日。
貧乏生活に耐えきれないミミは働くと言い出すが、ロドルフォは働かなくていいとしか言わない。
ミミは出て行ったキリ戻らなかった。

夜。
パリ。
ミミは元カレ仲間とレストランBAR。
迎えに来たロドルフォに別れを伝える。
ロドルフォは理解し、キスし、去る。

カフェBAR。
項垂れるロドルフォ。
マスターが酒をご馳走するが、地下に閉じこもる。


秋。
墓地。
放心状態のロドルフォとマルクス。
と、街で人だかり。
そこには砂糖社長の絵の広告があった。
3人は有り金をかき集め、ショナールが博打勝負。勝利でロドルフォ宅で晩餐。
が、虚しい3人。
と、ミミが訪問。
ミミもアパートを追い出されたらしい。
マルクスとショナールは空気を読んで退散。
ミミは体調が悪いようだ。
看病するロドルフォ。

と、戻ってきたマルクスとショナール。
ロドルフォとショナールは医者を呼びに行く。ミミは自分の死期が近いと感じていた。
コレはロドルフォのもとを離れた罰だと。
医者は今すぐ入院と判断。

病院。
ミミは手遅れ。春までの余命宣告を受ける。
とりあえず高い入院費が必要と言われ、ロドルフォは「何とかする」と言い、砂糖社長に絵を全て売った。
が、安く買い叩かれる。
ショナールは車を売り、マルクスは本を全て売った。

ミミに寄り添うボードレール。
ロドルフォは鉄工の仕事をし、金を作る。


春。
病室。
ミミは花を摘んで来てと頼む。
ロドルフォが庭から花を摘んで戻るとミミは安らかに眠っていた。

サントラ「雪の降る街を」
ロドルフォはマルクスとショナールに伝え、ボードレールと散歩に出かけた。


「ヨルマ・カウリスマキに捧ぐ」





というお話。
マルクスが主人公と思いきや途中からロドルフォが主人公に変わる。
ボードレールとの再会シーンは最高。
ラストも最高。日本の歌謡曲の哀愁がバッチリハマっててビビる。
サントラの選曲にセンスを感じるアキ監督だけどコレを持ってくるのはヤバい。

気づいた時には遅過ぎたと取るのか、その時だからこそ気づけたと取るのか。
アトミ

アトミ