こうみ大夫

王国(あるいはその家について)のこうみ大夫のレビュー・感想・評価

4.4
まぁ映画というものの再解釈、ディスカバリー映画だった。実は隠れているがそもほも本が良い(隠れていないか)。
ある意味こうしてしまうことで、二つの効果があると思った。一つは映画の古典戯曲化。すでにオチが分かっている状態、またそれに至る過程すら一言一句客に覚えさせることで、それ以外の、すなわち演技に素直に向き合わせられるという長所。もう一つはスタジオでない形の「舞台」の創造。ロケ地の都合や日の関係、音などという演技の邪魔となる要素を全て廃し、かつスタジオでないという低予算的発明をしたところ。これだけでも十分価値ある映画だったんじゃないかと思う。これだけ説明が無くても勝手に頭で補完できるのだから、人間は面白い脳をしてるし映画体験というのは特殊だ。
好きだったのは最初に編集者の話が出てきたところの三人の会話。演技ってああいう一発目の感じが個人的には好きで、段々と完成した芝居になっていくのはどうも苦手。「前より下手になってない?」と思う感覚は僕だけじゃなかったと思うし、それもまた意図なのか。
最後にもう一度あのシーンを繰り返すのが未だによく分からない。扉を閉めたところで終わると思っていたのに。あとト書きを読まない本読みはなんて良いんだろうと思った。
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