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ラン・ローラ・ランのmickeyのレビュー・感想・評価

ラン・ローラ・ラン(1998年製作の映画)
4.3
無性に走りたくなる映画No.1!

本作は『シュレーディンガーの猫』を題材にした映画だと思います。
ローラは恋人マニを救うためベルリンを駆け抜けるわけですが、僅かなタイムラグでストーリーは3つの結末に分岐します。一見するとゲームブックのようだし、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のようなタイムリープ物みたいです。
しかし、本作は”Aの選択が上手くいかなかったからBにする”という話ではありません。

本作は”選択”ではなく”可能性、確率”の話。
シュレーディンガーの猫は生きているのか?死んでいるのか?
量子論的には、生きている状態も死んでいる状態も同時に存在します。
本作のローラにも3つの結末は存在しますが、それはただ単に可能性を提示しただけにすぎません。

冒頭で警備員がこんなことを言います。
「(サッカーの)ボールは丸くて試合は90分、それだけが事実であとは全て推測でしかない」
この言葉を映画に当てはめると
「ローラはマニを愛していて、彼の為に走る。それだけが事実であとは全て推測でしかない」
そう考えながら観ると、途端にこの映画が愛おしく見えてきます。
ジャーマン・テクノの疾走感が心地良い81分。
逞しいフランカ・ポテンテとダメダメなモーリッツ・ブライプトロイのカップルが新鮮です。
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