モウドクウサギ

セメントの記憶のモウドクウサギのレビュー・感想・評価

セメントの記憶(2017年製作の映画)
3.5
ドキュメンタリーというより、編集や見せ方はよりアート映画に近い。シリア内戦に巻き込まれ、ベイルートでの建設作業に従事する労働者を固定カメラで切り取る。ごく断片的な監督の語りと、TVやラジオのニュースを除き、台詞は無く、徹底的に抑制されている。ナラティブな表現と、カットバックで映る凄惨な破壊された街、音響編集が印象深い。
上映後のショートムービーやトークショーで、監督自身が抱える精神的な病に触れられていたが、ただ生活をするのみでも困難ななか、作品を作り上げ、世界に発信しようとする姿勢に脱帽する。