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アスのberryのネタバレレビュー・内容・結末

アス(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この監督の映画はブラックユーモアが効いてて、メッセージ性もあって、数々の伏線に驚かされるから本当に面白い。
観る人によっていろんな受け取り方がありそう。
自分がもう1人いることってほんとに怖いことだと思った。実際こんな状況になったら、みんな頭がおかしくなって精神を病むと思う。自分が死ぬ姿を見る事になるどころか、自分で自分を殺さないといけない。
しかも自分とそっくりなのに何かが違うことで、その違和感がより不気味にさせてる。
この映画で特に注目したいのは、お母さんのアデレードと息子のジェイソン。最後までこの2人だけちょっと変わった演出がされてる。アデレードが実はレッドだったってオチは全く気付けなくて最後に「やられたー」ってなった。確かにその伏線は沢山合ったけどひとつだけ「?」ってなったのは、車で音楽流してるシーンで指鳴らしがリズムに合ってないって言ってる人が多いけど、あれは別にのれてると思った。普通に裏で音とってだだけだと思う。あの音楽だったら自分も同じように指鳴らす。けど表じゃなくて裏でとってたってことがそれを暗示してるってことならわかる。けどテザードである母がジェイソンにだけそれを教える様子が何だかジェイソンも特別なのかと思わせる。確かにジェイソンは変わり者扱いされてるし、ジェイソンのテザードだけハサミ持ってないし口もきけない。ジェイソンのテザードには母はどこか優しいというか情があるように見えたり。
もし入れ替わってるとしたら、多分その時期はある手品ができていたころの去年。火遊びが好きだから、火を使うマジックで大怪我をしたとして、そこで気失ってるところ、テザードの方の母かこっち側の母が入れ替えたとか。無理あるな。1年ちょっとで言語覚えるのも無理あるか。でももしそうなら、最後の2人の表情は、お互い実はテザードってことがわかったことでの目の会話だったと考えられる。入れ替わってないんだとしたら、母の正体に気づいてしまったジェイソンと、それを勘づいた母親の表情だったのかな… そうだとしたら、彼は「大丈夫。僕は黙っておくよ」ってことのあの真剣な眼差しだったのかな。いくらテザードだとしても母親であることに変わりはないから。まあどっちにせよこの息子と母の関係はちょっと娘と夫とは違うように見える。
あと友達の白人一家の家で「Call the police」って言ったときN.W.Aの「Fuck the police」流れたのは、ちょっと笑ってしまった。警察の当てにならない感じとか、黒人ラッパーが警察を批判した歌(当時の警察が黒人に対する偏見を持って仕事をしていたとことか)が白人の家で警察が必要な時流れてしまうっていうのは、この監督特有の皮肉めいたジョークだと思った。
それとスリラーのTシャツも。アデレードの格好は、片手袋に真っ赤な服。ちょっとマイケルファッションを連想させる。まあホラー映画のキャラクターからこのデザインはきてるとも思うけど。スリラーのMVも実はマイケルが狼人間だったってところで終わるから、そこも映画とリンクしてて面白い。他にも本当に沢山の伏線があるし、真っ黒な肌に映える白い目と歯、真っ赤なアイテム、テザードのデザインとか、美しくて印象的な映像だから視覚的にも愉しめると思う。
ホラースリカー嫌いでもギリ観れる怖さだけど、内容のおもしろさとキャストだけでも観る価値は充分にある。
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