吉良吉影

アスの吉良吉影のネタバレレビュー・内容・結末

アス(2019年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ドッペルゲンガー系ホラー。幼い頃に出逢った自分そっくりな何者かがトラウマになっている母親。大人になって別荘で夏を過ごすことになったが、その場所がトラウマゆかりの因縁の地。不審な事が多々起きる中で恐怖に耐えきれない母親。家の外には何やら人影が、、、という話。

ジョーダン・ピールが元コメディアンなこともあり、セリフの一つ一つが面白い。特に父親「白人じゃあるまいし、外に鍵置いとくなよ」「金目のものは何でもやる」「ホームアローンみたいに戦うか」のような空気読めない発言が笑える。

ドッペルゲンガー達が手を掴み輪になっているのは「ハンズ・アクロス・アメリカ」という上級国民が募金して15分間の人間の輪を作った件を皮肉的に捉えている。地下の人間達を貧困層と見立てる事で、階層社会の革命とでも呼べる事件だったとも読み取れる。いつ誰がこのような革命を狙っているのか分からない。そのためにも人種差別を無くし、多様性を守る事で、アメリカ内の貧困問題を解決することが大切であるというメッセージが詰まった作品である。

社会問題を訴えつつも映画としてのエンタメ性を損なわれていない今作は、個人的には良作であると感じた。
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