あああ

アスのあああのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
3.7
真夜中、いきなり自分と瓜二つの赤い服を着た人間がドアを叩く。音楽含め実際に後ろを振り返ってしまうような不気味さが充満した映画だった。ビーチに行くのが怖くなる。

この映画の主要素は、自分と同じ姿の人間が、自分の生活を乗っ取りに来るという恐怖(そして自分の家族と同じ姿の人間を殺さないといけない絶望)と、地下で産まれた貧困で言葉も話せない彼らと、一流大学を出て湖畔の別荘を所有している主人公達の姿が全く一緒 ―つまり恵まれない彼らと恵まれた自分達は本質的に同じで、自分達が恵まれた側に産まれたのはただの偶然でしかない― というシニカルな批判の2つだと思う。
地下で苦しい生活を強いられてきた彼らは、恵まれ幸せな生活を送る主人公達を恨んでいる。これは現代社会の貧富の差と、そこから生まれる分断を示していて、そしてそんな彼らは政府が作ったクローン。つまりこの分断を作ったのは政府だと言っているんだと思う。
メッセージ性などを無視しても普通にホラーとして上質だった。

3億人のアメリカ人と全く同じだけの人口が地下で生活しているという設定は流石に無理があると思う。彼らの生活に必要なお金や資源を準備できるはずがないし、何世代も前の時代に完璧なクローンを作れるとも思えない。SFじゃないんだし、こんな事を言うのは野暮なのかもしれないけどね。

どうでもいいけど、テーマソングがめっちゃ攻殻機動隊笑
あああ

あああ