かーく

バースデー・ワンダーランドのかーくのネタバレレビュー・内容・結末

1.9

このレビューはネタバレを含みます

なんというか普通につまらない作品でこの退屈さを言語化する方法に悩んでいる
観ている間何度も集中力が途切れそうになった

まず主人公が小学生に見えないのでそこで一旦思考がストップし、物語を見る上で最初から躓いてしまう
小学生として見たら見たで尻つつかれて顔赤らめてるシーンはキモいなぁとしか思えないし

ストーリーははっきり描写すべき所をぼやかしていて話全体が締まらない
雫切りの儀式はどういうものかその仕組みを最初にきちんと説明するべきでは?
儀式の舞台が遠目に映るだけで重要な儀式なんですと言うだけ
構造からして危険なものなのだろうことは想像はつくものの、敵が改心して儀式をするという段階になって初めて「失敗すれば命を失う」という説明が出る
改心前に言ってくれなきゃ敵の葛藤や前に進むと決めた時の勇気がどれほどのものか伝わらないでしょう
しかも命云々はいいとして具体的にどういう行動が必要になるのか結局よく分からない
最初(儀式成功のために必要な行動として)穴に飛び込むのかな?と思いきや失敗したから飛び込みますと言い出して訳が分からなかった
本来の形式はなんなのか全然分からない

細かい不満点は他にもある
ピポがいきなりドロポを友達だと思ってるとか言い出した所は「こいつ適当にいい感じのこと言いやがって」とため息が出そうになった
回想から見るに別に友達でもなんでもないよね
ただたまに突っかかってくる同級生Aくらいの距離感だったよね
ドロポはピポにコンプレックスがあったようだから友達と言ってもらえて嬉しいだろうけど正直このお話が終わったあとにようやく友達になれるかなくらいだよね

ギャグがことごとくつまらないのも辛い
蝿の仕草とか何が面白いのか
しんちゃんの置物が映るファンサービス(?)も冷めた目で見てしまう
同じ髪飾り着けてこない問題の解決方法はあれでいいの?髪飾りの代替品を見つけただけでそれをまた忘れたりなくしたりしたら同様の問題が起きるのではないの?成長した主人公が前のめりで解決してくれるのかもしれないけどそもそも主人公が前向きになるきっかけが曖昧だからいい方向に変わっていく予感があまりしない

原監督は技術の進歩に対して否定的な見方をしている所があると思う
今作の宿におけるおじいさんとのやり取りからも伺える
「何で進歩しなかったの?」「必要なかったからじゃないかな」
私はここで気持ちが萎えてしまった
電車や自動車やスマホがない世界が幸福か?幸福かも知れない
じゃあそれらがある世界は不幸なのか?技術の進歩は必要なかった?そんなことはないでしょう
ワンダーランドは住人が自分の手の届く範囲で幸福に暮らしている世界だけれど一人の王族に世界の責任の全てを押し付ける在り方が良いものとは思えない
そのうちまた同じ問題が起きそう
主人公は物語の終わりに自分の世界に戻り、当たり前にあった景色に見とれているシーンがあるし監督も別に今の世界を全否定しているわけじゃないと思う
ただ向こうの世界の素晴らしさと対比するとやっぱりワンダーランドの方が魅力的に描かれている
だから進歩前の世界の方が良いと言っているように感じてしまう
技術が発達した世界に住む私達はこの映画から何を受け取ればいいのだろう
かーく

かーく