このレビューはネタバレを含みます
旧作を忠実に3DCGにしており、安心してみることができた。
3DCGといっても、リアル志向になり過ぎずに、2Dアニメ調の仕上がりで気持ち悪さはなかった。
人間が創り出してしまったものが人間に復讐するというテーマを愛くるしい姿のポケモンを使ってやるのは、子供にとってはトラウマにもなりかねない。しかし多少子供に怖い思いをさせてでも、生命や争いの話を伝えたいという意志が旧作からは感じられた。本作では怖さを感じることができなかった。相手に敵わない時の絶望感は3DCGの技術的にもっと伝えることができたのではないかと思う。
偉大な旧作に遠慮して、大胆な演出ができずに、かえって旧作の衝撃が薄まってしまったように感じた。ただ、その中でも、サトシが石化するシーンは3DCGということを生かし、生々しい質感や、ゴトッという音で今まで活躍していたサトシが石になってしまったという絶望感を表現できていて素晴らしく、全編でこのような工夫をしてほしかった。
とはいえ、今の子どもたちが今作を観てどう感じるかが一番の問題で、それがどの程度成功しているのかは知る由もない。
大人にとっては先述したサトシ石化のシーンとスクリーンで「風といっしょに」を聴けるということだろうか。
