幽斎

ブラッディ・スワンの幽斎のレビュー・感想・評価

ブラッディ・スワン(2018年製作の映画)
4.0
C級スリラー(ホラー)をレビューする、Scavengerシリーズ第11界。原題「Bloody Ballet」血塗れのバレエ。邦題が完全に「ブラック・スワン」誤認を狙ってるが、強ち見当違いでも無い。AmazonPrimeVideoで0円鑑賞。

2018年11月アメリカで劇場公開当時の原題「Fantasma」お化け(笑)。アウトラインが無いので要約すると、幼少時に両親を惨殺された主人公アドリアナ。バレエ学校に通う彼女は主役に抜擢された後、周囲の人々が殺害される悪夢に魘される。悪夢は現実と化し親しい人達が次々と目玉を抉られる事件が起こるのだが・・・。

北米で「Not Rated」公開されたが、中身はガッツリDario Argento監督の代表作「サスペリア」彷彿とさせるイタリアン・スリラー「Giallo」を現代に復刻。私的には「シャドー」推しだが、80年代の雰囲気をステイブルする殺人鬼映画。ジャッロと言えば音楽はGoblin、劇伴も「ゾンビ」O.S.Tっぽい感じで出出しからイイ感じ。

ジャッロらしいゴア描写が素晴らしく、審査基準とは何なんだと溜息が洩れる謝肉祭が用意されてる。Argento監督っぽい殺人鬼のヴィジュアル、イタリアン・スリラーでお馴染みの人形の造形。アメリカのスプラッターも裸足で逃げるセンスの良さ。だって脳天串刺しですよ(笑)。ジャッロ定番の目玉も・・・低予算でも質感の高さは侮れない。

日本で劇場公開しても全然問題ないレベル。制作会社は私でも知らない無名揃いだが、アマプラにアテンドした、HighOctane pictures「キラークラウン 血の惨劇」とか、ロクデナシ揃いだが、血塗れ度はかつやのカツ丼「松」並み(笑)。コンプライアンスを気にし過ぎたホラーの惨状を思えば、陰惨・無残・血生臭いもタップリ。アラサーの私も歳のせいかいきなり!ステーキ450gが食べられなく為ったけど、お腹一杯に為りますわ。

ジャッロなので欧米の起承転結を求めるのはムリ。プロットの一貫性の無さを嘆いてもヤボ。ツッコミ処満載で、正しいオチに気付かないかも。当然だが犯人が読めたと喜ぶ部類でも無い。目新しい展開の無さに目を瞑れば、久々に「Giallo」らしい映画が観れて、其れなりの満足感は得られるだろう。

演出のみ為らず撮影や編集も手掛けたBrett Mullenイケメン監督。Argento監督の支離滅裂は模倣せず、スリラーを現代的に最適化した手腕は評価出来る。自主制作のインディーズでも、ライティングやアートディレクションは廉さを感じさせないセンスの良さ。長編監督デビューだが、低予算映画のお手本を見る想いで清々しかった。本作を観て私のホラー大好き淑女のフォロワーさんの顔が思い浮かんだけど(お逢いした事無いけど(笑)、監督の次回作も大いに期待したい。

前世紀のジャッロがお好きな方には割と本気でお薦め出来るので、暇潰しに為るかも。
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