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家族ゲームのyawaraのレビュー・感想・評価

家族ゲーム(1983年製作の映画)
4.1
「お前じゃダメなんだよ」お前が言うか。こちらのセリフである。

一人の家庭教師の目を通して、機能不全に陥った家族の様子を映し出す。

幼児性や不誠実さにはじまり、とにかくキャラクターが歪である。意図せずその歪さへバランスを取っている家庭教師の存在が興味深い。
彼らの異常性は、生まれ持つような独立したそれというよりは、こわれた家族関係のなかでドミノのように連鎖して形成された物である。作品を通して得られる納得感は正に「この親にしてこの子あり」といったところ。
この辺りは構成でうまくリードされており、作りがたいへんに巧妙。不快感を自覚しながら、視聴を全くやめられない中毒性も実に見事。
不快感に応えるカタルシスも用意されてはいるが、その痛快さはどこかこの家族に通底する暗い物となっている。
様々な事を想起させるラストシーンもまた筆舌に尽くしがたい。

はじめは好奇な目で見ていたが、どうにも他人とは思えなくなってくるような心地があった。ダークなユーモアに彩られた人間ドラマ。
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