メモヨー

家族ゲームのメモヨーのレビュー・感想・評価

家族ゲーム(1983年製作の映画)
4.2
当時の鬱屈として気が詰まるような空気感を森田の巧みな演出で表現しつつ、それを助長し更には壊していくような不穏な空気を抱えた松田優作の怪演も光る傑作。

室内の止め絵は小津安二郎的なショットが多かったと言ったら怒られるだろうか。もう3年ぐらい見てないからわからないけど、この映画のような感じだった。あと退屈なになりそうな場面はカメラを動かしまくって飽きさせないのも良し。
伊丹の名演も触れておかないわけにはいかない。
恥ずかしくも役者伊丹十三は初めて見たわけだが、ユーモラスで大変良い。惜しい人をなくしたな。
さて、謎の多いラストだがフロイト的夢解釈にハマっている私は大胆にも「夢オチ」だと解釈する。
まずヘリの音はキャッチコピーにもなってる冒頭の「家中がピリピリなってる。すごくうるさいんだ。」から夢を見てる瞬間の外部からの影響でもあるし、中盤のレコードを鳴らす場面で音が聞こえなかったのもこのヘリの音のせいではなかったのだろうか。
この説に基づいて解釈すると「家庭教師」の存在も分かってくる。
家族と直接関わろうとしない父親のせいで息子は常に「父性」を求めていたのではないか。その父性の象徴として、子供に暴力を教え、常に「苛められっ子」だった主人公に「力」をつけさせる。まるでタイラー・ダーデンのような男が生まれたのだ。
これが夢オチだってことは彼らは変わらないのだろう。
「家族ゲーム」で疲れ果て、外のことに目なんか向けない。
ある日原爆でも落ちてきてジャップは終わり。
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