矢吹

ワイルドツアーの矢吹のレビュー・感想・評価

ワイルドツアー(2018年製作の映画)
4.0
見たよ、

まずは、ありがとう

素直に嬉しかった。

DNAを探すワークショップに参加する、中3と大学1年生の様子を描く感じから始まって、
実質、めちゃくちゃ「君の鳥は歌える」だった。
男女グループの、恋模様。
この鮮度の高さ、香ばしさを切り取る人間。
三宅唱さんだ。
心の地下の深いところに堆積していたものを抉り取られる。
15歳の恋だから、一人一人の世界観の交わりというよりは、3人で同じ自然の中を歩いて、同じものを見て、膨らんでいく感じでした。
映像を確認する際の横並びの、さらに思い出が重なってくるショットは至高。歴史を乗り越えていく未来の最先端にいる彼らの姿である。それも全く間違いじゃないしね。
10代は、なかなかどうしても環境の中で生きるわけですから。
だからこそ、易々と立ち入り禁止を超えていく、越えようとするシーンが何度も反復されて、それもまたかなり印象的でした。
新しい種を求めて行くわけだ。
ウメちゃんはね、もう好き勝手にしろ。

お互いの呼び方の微妙な攻防。手を取るか取らないかの微妙な攻防。横に座って肩があたるか当たらないかの微妙な攻防。
中学生男子のラブコメディ。
脈アリのサインとか、ネットで必死に調べて、百喜百憂する年頃だから。
一方で、年上の山崎くんを、すっかりザキヤマ呼びの女子チームとの、飛んでいるところの高度の差に笑っちゃう部分もある。まさに精神年齢7つ違うっていうやつだったりするのかね。
なんか女子なりのゴタゴタもちゃんとあったし。
まあ結局、恋愛に関してはね、男女性別問わず、中坊なんてみんな初心者ですから、俺は大人なので、脈ありサインなんて調べずとも、もう全て暗記してる。何万回調べてきたと思ってんだよ。
そして、
タケ、あの帽子とギターは流石に生意気だぞ。
好きな言葉は、今の災いは過去の報いだってところから怪しかったけどな。

高校生になったら、告白しようと思う。
高校生になったら、付き合ってください。
の子供じゃないプライドと、大人じゃない可能性。この辺の大人への解像度の低さ、儚い夢だよ。あの頃は。大人なんて大人に見えますよね。
大人って、趣味にとどめた方がいいよ、仕事にしたら意外としんどいことばっかりだから、なりたいなんて思わない方が良い。
そして、中学生には、年寄りが何を言っても、勝てっこないってことだけは、改めて思い知らさせていただいた。
さてどんなこと言う大人になろうかな。って感じですね。
しかし、年下の男の年下ムーブは無自覚で純であるほど、まじで刺さんねえんだよな。
手紙ね、可愛すぎるよ。めっちゃよかったね。
真っ白の紙にね。

そういうことだから、
出てくるパーカーの数がマジで世界一多い映画に仕上がってます。
中学生の2月だから仕方ない。
仕方ないって何だよ。別にいいやんね。
全員フードついてたと思うよ。

役者さんたち。
ウメちゃん、タケ、特に本物すぎる。
3人ともすごいし、出てくる人みんな、演技上手すぎるし、演技とかじゃないのかこれ。
好きな人の前の中学生なんてみんな、不自然な演技をするもんだもの。
そこがスイングしてたのもあるだろうね。

一言に草って言っても、いろんな種類あります。
一言に人って言っても、いろんな種類あります。
結局、成長したら、何科とか、同じ種類の人だったんだってのがあってね、細胞が近い人間っていろんなグループに分かれて存在するのです。
とりあえずそれだけ。

映画が、ちゃんとそれぞれの日常に帰るまでが、三宅唱。

中高生、とにかく今を突っ走ってください。
本当に応援しています。
矢吹

矢吹