m

ソヴァージュのmのレビュー・感想・評価

ソヴァージュ(2018年製作の映画)
4.0
人間の皮を被った獣たち。その野性的(ソヴァージュ)な生き方をしっかり見る必要があり、理解する必要もあると思った作品。

MyFFFにて、ゲイを専門に扱った男娼婦を描いた作品。22歳の主人公、レオ(フェリックス・マリトーさん)の残酷な日常を鮮烈に生々しく描かれている。

よく性欲と恋愛について考えることがある。女性だって「うっわー、今すっげぇセックスしてぇ」ってなることあると思うのよ(え?あるよね?無いってなったら恥ずかしいんだけど笑)同じように「今、すっげぇ彼氏(パートナー)欲しいわ」ってなるときある。
それって凄く野性的だと思うんだよ。だって、自然界でいったら子孫を残すことが第一でパートナーを見つけて子供を持つのが優先される話だと思う。
そうやって考えたとき、他者にプラトニックな恋愛・愛情を持つって良い意味でロマンティック、悪い意味でコスパが悪い。
でもそれが人間の特権であり、素晴らしい面なんだと思う。人間だけができること。

人間的な私たちの視点で見たときにレオがしていることって凄く残酷性を帯びている。レオの日常を私たちから見たら、野性的すぎて早くやめるべきだと思ってしまうものだろう。
けど、レオは違う。
まるで地球・自然界に母体回帰する姿が印象的で、レオは人間の皮を被った獣なんだなぁと思った。
助けの手を差し伸べられても「なぜ?」と言う彼、助かってもなお居心地が悪そうな彼、異常だと切り捨てるのは簡単だけどレオにとっての普通というのはそういうことなんだと思う。
だからタイトルが全てを物語っている。野性的な話なんだ。

最近観た『ガールフレンド・エクスペリエンス』は高級コールガールだけど、きちんと仕事として成り立たせていた。
今作はよりアンダーグラウンド。私たちは、レオのいる世界を異常だと思ってしまう。
でもなにかそれが、その視点が私たち、野性的ではない人間のエゴイズムに思えてしまった。

上記の話を一旦打ち消す話をしたい。
今作が今作の重さを保っているのは、レオの二面性だと思う。人間の皮を被った獣が人間になりたくて仕方がない様が見て取れた。
性行為にはなんら抵抗がないレオだけど、友達を気にかけたり、恋をした男に愛を縋ったり、随所に人間臭い感覚がある。
それがレオを苦しめていたのではないかと思った。
服を着たまま抱きしめあいたい、けれど、そこに留まる気はない、留まれない。

どこにも行けない、なににもなれない人間、そこにスポットライトを当てたリアルな作品だった。
ラストは凄く際立っていた。

あのすっごい怖い描写あるんだ…。あ○る拡張の道具がね、エゲツない太さなんだ…。ローション塗りたくっている姿はろくろ回しているの?ってくらい大きくて(観ないと伝わらないなぁ…笑)
自分のお尻押さえながら観てしまった笑

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★★☆
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★★☆(レオ演じたフェリックス・マリトーさん体張りすぎで凄かった)
メッセージ性 : ★★☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆
m

m