おさるのじょじへい

野獣のおさるのじょじへいのネタバレレビュー・内容・結末

野獣(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

少年2人を待ち受ける運命が主だった体裁だけど、実はもっと深い内容が隠されているように感じました。
随分と美しい景色だと感じて気になって調べてみたのですが、今作にて鉱滓ダム(サイズから考えると貯泥池かもしれない)の存在を初めて知りました。このダムこそ友人の命を奪ってしまった…。一見すれば被害はそれだけだけど、実際は有害な化学物質を含むことが多いらしく、泥を浴びた主人公タイラー君の命も危ないかもしれません。鉱山が少なくなった日本ではダムの存在はピンとこないけど、原子力関連の施設に置き換えれば想像しやすい。今作は環境破壊への警鐘を鳴らしているようにも感じました。

母子家庭のタイラー。きっと家計を支えるために忙しい母は、子供がどんな遊びをしているかなんて、把握している余裕はなかなかない。タイラー君の痩せた体から生活が垣間見えるようでした。今作から貧困問題もうかがえます。

ここまで考えさせられる17分の作品と言うのも珍しい。どっぷり今作にハマってしまいました。

そして、
リュック・ベッソンがナタリー・ポートマンを
是枝監督が柳楽優弥を見出したように
ジェレミー・コント監督もフェリックス・グレニア君を見つけてくれたのだと思いました。
あの切れ長の美しい瞳が、心に力強く訴えてくるのです。