いののん

宮本から君へのいののんのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
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むきだしの魂。むきだしの愛。はげしすぎる。フルマラソンどころか、地球1周を、全力で走りきっても、まだやれます!くらいの激しさだ。アマゾンの熱帯も、灼熱の砂漠も、高い山も深い海も、全部走りきっても、まだやれます!くらいの激しさ。自分でも自分を殴って、全身傷だらけになって、血まみれになっても、まだ笑っていられるということ。あんまりにも凄くて、笑えてきた。よく笑った。可笑しくて。全力すぎて。これこそが、生きることだと言ってるみたいに。


人の為にと、思ったり行動したりすることは、結局は自分の為でしかなく、もう、そこの区別なんて出来なくて。でも、究極の、突き抜けた、自分自身の為の思いや行動は、やっぱり、人と深く繋がっていて、だからもう、ごちゃごちゃ考えなくてもいいんだ。大丈夫なんだ。
終盤、大事な勝負があって、その勝負にケリがついて、宮本が靖子の元に帰っていって、勝負の結果報告をするところ、その全てが、宝物みたいだ。あんな全力、私は何処に置いてきちゃったんだろう。今からでも間に合うかな。でも、置いてきちゃった場所なんて、探さないぞ。ここから、やみくもに、生ききってやる。



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時間の経過の見せ方も旨い。最初にああやって見せてくれたから、苛酷な話になるだろうことは覚悟しつつ、でも、安心して観ることができた。この物語には不要なハラハラを抱えることなく、主役の2人を見つめていられた。監督の、映画を提示する方法は、実はとても優しいのだと思う。


池松壮亮と蒼井優に、終わることのない拍手を、全力でおくりたい。
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