YoshiyaTsuboi

宮本から君へのYoshiyaTsuboiのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
4.3
原作は学生時代にモーニング連載で読んでいた。もの凄くハマったわけではないが、好き嫌いが各自にある作品の力強さが残っている。元々俳優・池松壮亮が好きなので、テレビドラマ版は見ていたが、映画版は一気に重たくなる原作の後編となる部分がメイン。

真利子監督が原作の骨格を生かしつつ、こう打ち出してきたのかと画面に釘付けになった。池松壮亮と蒼井優が凄まじい、文字通りとにかく凄まじい。賛否ある作品だし、気持ちがいいものが映っているわけではない。目を背けたくなるものが迫ってくる。さらに「父になる」というテーマがはっきり入っている。これから父になるひと、父になったひとには、何かが重なって入ってきたり、逆にこなかったりすると思えるが、そもそも女性からすれば「ふざんけんな!」というメッセージにも敢えてなっているとも思える。

出てくる野郎は全員大なり小なり、さまざまなベクトルのクズ性を披露するが、監督は蒼井優演じる靖子からの視線を中心に女性へのリスペクトを重んじつつ、野郎たちの全員死んでよしなクズ性を見せつけたように感じた。見終わった翌日、まだなんか燻っている、消化できないものがある。それが“暴力”なんだろうけど『ディストラクション・ベしよイビーズ』からこの監督はそれを解けない(溶けない)テーマに置いているのか。

とにかく池松壮亮、蒼井優が突き抜けている、最初から最後までもの凄い。それを演出している監督はじめ、スタッフたちが作る現場は凄まじい熱量なのだろう。ラジオでの山ちゃんの本作についての語りはまだ聞けてないけど、前半にある二人のセックスシーンはリアルでよくって、あと10分ぐらい見ていたかったぐらい。それと中盤ぐらいのあのメシの場面、凄まじく最高。今年観た中では今んとこずば抜けてナンバー1な食事シーンだ。
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