玉置雄也

宮本から君への玉置雄也のレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
3.5
なんだかめちゃくちゃイライラしたんだが、それは2種類あって、宮本に感情移入して何もうまくいかないことへの苛立ちが1つ。もう1つは靖子側からすると、お前の物語のための踏み台にすんじゃねぇと。先に苦しむのはいつも靖子じゃん。後から行動起こして強引に調子こくなよと。
だから最後の靖子の表情が苦しそうで良かったと思う。良かったと書くと変だけど、その表情が正しいと思う。出産後だからというだけでなく、宮本に対する、男に対する、世界に対する表情だったんだと思う。
靖子が犯された後や出産した後など、宮本は内臓や命もくれてやる覚悟を示すが、それを拒絶されてしまう。褒めて欲しいという宮本を褒める描写もない。宮本を象徴とする(かつては良きとされていたかもしれない)古くさい様々なものを拒否する映画だとみることもできるのかもしれない。

撮影はめちゃくちゃ良かった。
冒頭の鏡、非常階段での戦い、夜の街。
井浦新の暴力性と距離の連動もすごく良かった。
玉置雄也

玉置雄也