Jeffrey

魔笛のJeffreyのレビュー・感想・評価

魔笛(1974年製作の映画)
3.0
「魔笛」

冒頭、夕焼けの美しいファースト・ショット。ここはオペラ座。観客の老若男女の表情のクローズアップ、連続カット割り、自然、王子タミーノ、悪魔に捕らえられたパミーナ姫、救出、旅。今、炎燃える中、笛を吹いて灼熱を通り抜ける…本作はイングマール・ベルイマンが監督、脚本を務めたモーツァルトが作曲したオペラを映像化したもので、この度BDが発売され再鑑賞したが面白い。1975年の作品で、もともとは元日のテレビ放送用の作品であったが、その芸術性の高さから映画に仕立て直され、諸外国にも配給され翌年には日本でも公開されている。

本作に登場する劇場はストックホルム郊外にあるドロットニングホルム宮廷劇場という、1760年に建てられた200席ほどの劇場で、撮影自体はほぼスタジオで行われたそうだ。どうやら、フリーメーソンとの関連性を思わせる箇所や奴隷たちのシーンを省略し、オペラのエッセンスを見事に纏め上げ、唯一無比のベルイマン作品となっていて、原語のドイツ語ではなくスウェーデン語で演じられているようだ。ベルイマンはこの「魔笛」の1部を自作の「狼の時間」の中で人形劇として演出しているが、自身にとって「魔笛」の映画化は念願の企画だったそうだ。

当時オペラを好んでいた国王グスタフ三世がそこで暗殺されてからは閉鎖されてしまった宮殿劇場で撮られ、1992年に復活して夏の期間に音楽祭が開かれ、18世紀のオペラを楽器や装置もほぼ当時のままとして再現、上映していたそうだ。91年劇場を含むドロットニングホルム宮殿の王領地がユネスコの世界遺産に登録されているようだ。さて、物語は王子・タミーノは悪魔に捕らえられたパミーナ姫を救出するため、おどけたお調子者のパパゲーノと旅に出る…と簡単に説明するとこんな感じで、ベルイマンの作品の中では相当自分が好きではない。
Jeffrey

Jeffrey