kazマックスグローバーレッド

真・地獄の黙示録のkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

真・地獄の黙示録(1993年製作の映画)
3.5
「シン」でもない「新」でもない「真」の地獄の黙示録。コッポラ監督『地獄の黙示録』は原作「闇の奥」の舞台をベトナム戦争に置き換えて脚色した話。それに対してこちらの映画はニコラス・ローグ監督が原作をそのまま映画化したのでタイトルも「闇の奥」のままでいいのに何故か『真・地獄の黙示録』っておかしな逆転現象タイトルになっている。

ずっと気になってたので先日 原作を読み終えてからの映画初鑑賞。因みに『地獄の黙示録』は「行って殺してくる話」だったけど原作は「行って連れて帰ってくる話」

貿易商マーロウが蒸気船でコンゴの河を遡り、原住民に襲われながらもジャングル奥地の駐在所に居座る謎の厄介者社員クルツを連れて帰ろうとする、1890年頃にベルギー国王レオポルド二世が私有するコンゴ自由国のジャングル奥地で原作者コンラッドの体験を元にしたお話で、まぁ掻い摘んで言いますと「自分たちが野蛮人扱いしてたアフリカの原住民を使って象牙を搾取していた白人、実は彼らのほうがよっぽど野蛮人だった」という内容。

マーロウ役はティム・ロスでクルツ役はジョン・マルコヴィッチ。『地獄の黙示録』でマーロン・ブランドの貫禄たっぷりカーツ大佐をずっと見てきたのでマルコヴィッチのクルツがどうも小物に見えてしまうのは致し方ない。

コッポラはこの僅か200ページの小説をあんな長尺映画にしちゃうんだから凄いよな。『地獄の黙示録』と比較しながら読むと原作のほうもなかなか面白かった。

そしてこの「闇の奥」は『市民ケーン』を作る前のオーソン・ウェルズも映画化を試みたらしく、もし実現してたらどんな映画になってたんだろうね。『地獄の黙示録』の制作過程ではウィラード大尉がクリント・イーストウッドでカーツ大佐がオーソン・ウェルズというキャスティング案もあったようで、そっちはそっちで見てみたかった。