和桜

たちあがる女の和桜のレビュー・感想・評価

たちあがる女(2018年製作の映画)
3.4
アルゼンチンの田舎町で合唱団の講師を勤めながら、裏では過激な環境活動を一人で続けてきた女性。長年願い続けた養子縁組の話が決まったことから、彼女は一つの区切りを付けるために大掛かりな準備を始める。

「我々こそ地球に仕掛けられた戦争を止められる最後の世代だ。子供や孫たちの代では手遅れになる。」と言いながら、行われるのは想像以上に過激な破壊活動。現代的なSNSやドローンを使いこなしたかと思えば、動物の死骸を被って隠れる様は野性的で格好いい。
全体的にシュールでブラックコメディ色が強く、劇中の伴奏者を実際に登場させるのは良く見かける演出ではあるけど、かなり印象的で上手かった。動物の扱いといい、クストリッツァ監督を思わせる。

ただ既に指摘されているように、彼女の言い分は分かっても、その行動まで全肯定出来ないもどかしさも感じる。
対話云々を偉そうには言えないけど、一方的で伝わってない故に知らない人からテロリストとして扱われてしまう。アイスランドの監督自身が彼女は正しいと信じているのは分かるけど、映画という他の国の人間も目にする可能性がある媒体なだけに、これは正しいことなんだ!から掘り下げて欲しかった。ラストが良かっただけに。

あとガンジーとマンデラを並べるのはさすがに違うし、ジョークだとしても彼らのお面を被るのは笑えない。こんな風に雑に消費されていくのは見ていられない。
和桜

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