みーちゃん

無垢なる証人のみーちゃんのレビュー・感想・評価

無垢なる証人(2019年製作の映画)
3.9
韓国映画のクオリティの高さは大前提として、誰にどう感情移入するかによって、感じ方が変わると思う。

もしかしたら脚本が持つ実力以上の深さを、チョン・ウソンが体現していたのかもしれない、と思うくらいの、スノ弁護士だった。

"アシュラ"でもそうだが、この人は、抑圧された状態の人間を表現するのが、本当に上手いと思う。表面はどんなに笑顔でも、どんなにスマートでも、常に、自分の何かを、グッと奥歯を噛み締めて抑えているような、何とも言えない気持ちにさせられる。

憂いや陰とか、そんな単純ではなく、その人物が抱える、どうしようもない闇や事情みたいなものを感じる。

実は、私は、それがラストでも消えなかった。裁判の結果や、ジウの物語は別として、スノにフォーカスした時に、救われたのは、悪にも善にも振り切れない中途半端な自分からの脱却だけであり、介護や借金は悪化する一方だし、社会的に失った地位やチャンスは、あまりにも大きい。

その代わり、自分は大切なものを得たのだ。これで良かったのだ。ハッピーエンド!と、脳天気には言い切れないような、チョン・ウソンの表情が、これまたとても複雑に見えて、現実的な問題として共感した。