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無垢なる証人のjamのレビュー・感想・評価

無垢なる証人(2019年製作の映画)
4.5
自閉症でさえ無かったら?
…それだと、ジウじゃない
ジウに障害がなければいい、そうは思わない

それは
全てを受け止めて、ジウを護り育ててきた母だからこその言葉
そもそも面識がなく、障害を抱えた人たちに接する機会のあまりない人にとって
ジウという少女に心を開いてもらう方法すらわからなかった


そのジウがたまたまある事件を目撃してしまったことから。
ジウとは対立する立場となる被告弁護士のスノ。
彼の視点で物語が綴られる


弁護士になりたいと語った少年時代
今はパーキンソン病で思うように動けなくなった父の、おそらく最高の宝物のような、息子の強い意志

けれど、理想と現実は大きくかけ離れて
生活のため、本来の希望ではない仕事をこなし、
そんな自分を諦めとともに認めようとする
…これは、スノだけのことではなくて
私たちのなかにも、同じような状況で胸にほろ苦い想いを抱えながら日々を過ごしている人はいる

ジウから証言を得たいと、接触を試みるものの、うまくいかない
彼とは対称的な、検事のイ・ヒジュン
弟が自閉症という境遇の彼の言葉

自閉症の人は、自分の世界から出られない
あなたが入ればいい


クイズと携帯電話
ラーメンと青いグミ

ジウと心を通わせていくほどに
本来の目的である被告弁護士としての職務上の葛藤がうまれて
仕事と割り切るという決意と、"いいことをしたい"と
弁護士になろうと思った時の記憶の狭間で揺れる…


正しい行いをしたい
けれども現実の生活の中で、ままならないことも多く
絶対に譲れない、そのラインをどこにもっていくか。
そのことを考えたことがあれば、スノの心境に共感できると思う

ただし、そこから。
スノのように行動に移すことができるか?
正直、難しいんだろうな…

だからこそ
スノの下した決断が、私たちの胸を熱くする


あなたはいい人ですか?

もしもそう問われたとしたら。
わからないけれど、そうありたいと思います、と答えたい。
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