イチロヲ

実録 私設銀座警察のイチロヲのレビュー・感想・評価

実録 私設銀座警察(1973年製作の映画)
4.0
日本に帰還した敗残兵の青年グループが、人間社会の不条理に抗うため、独自路線の愚連隊を結成する。戦後混乱期に誕生した「最初の暴力団」をスケッチしている、実録系バイオレンス映画。

軍人の幻影に縛られている男たちが、アウトロー化(=ヤクザ化)していく過程を追っている作品。戦後混乱期の雰囲気作りに秀でており、フリージャズ系の音楽とゲテモノショー的なリンチ描写が抜群の効果を上げている。

「混乱状態を生き抜くための術」が幾重にも交錯することにより、まるで自然の摂理のごとく、ダークヒーロー的な組織が構成されていく。善悪が混交したままの状態で、物語が進行するところが醍醐味となる。

手のひらを唐揚げにするリンチ行為、ヒロポン常習者のオーバードーズ、芸者を相手にした乱交パーティなど、アナーキーな世界観が炸裂している。戦後日本における、倫理性の破綻状態が落とし込まれており、「日本のいちばん長い日」の後日談としても最適。
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