en

ロード・オブ・カオスのenのレビュー・感想・評価

ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)
4.0
ノルウェーのブラックメタルバンドのメイヘムの真実と虚構を織り交ぜた事実に基づく話

観る側としても相当なカロリーと心の消耗が激しい。R18+指定とはいえ、デッドの自殺シーンは画としての残虐性のみならず、鬱屈として晴れることのない心の救済が自傷行為だったり最終的には死であることの如何ともし難さがある。
デッドの死に引き寄せられるように、邪悪な思想を持つやつらによってメイヘムはカルト的な人気を得ていく。しかし、ユーロニモスでは制御できない状況になり過激さが過激さを増し狂気が埋め尽くされていき、後には引けなくなっていく様は終わり近づいていくコミュニティにありがちな空気感みたいなのが伝わってくる。
そういう純度の高い禍々しさを浴びながらも、親の援助でレーベルやレコード店を立ち上げたり、レコーディングしたり実家でくつろぐ若者の面のギャップや緩急は、彼らの悪魔崇拝の思想への皮肉が刺さって笑顔がこぼれます。

観ると落ち込むし疲れることばかりですが、そこを乗り越えた時に見える景色や心の変化を楽しめます。
en

en