イチロヲ

人妻拷問のイチロヲのレビュー・感想・評価

人妻拷問(1980年製作の映画)
3.5
強姦被害を受けた妹の代わりに報復攻撃を開始した青年(下元史朗)が、首謀者となる男に隷属するマゾヒストの夫人(丘尚美)と接触する。マゾヒストの悲哀と葛藤を描いている、新東宝配給のピンク映画。

妻帯者の男性グループに妹を強姦される、という凄惨な事件を目の当たりにした青年が、「真面目に生きているほうがバカを見る」を覚り、厭人家に変身。2名の妻を殺害して、最後の丘尚美の元に辿り着く。

青年がインポの設定になっており、拳銃をペニスの代替として扱うという、非常に分かりやすいモチーフが採用されている。また、レイプ犯がパイパン趣味をもっており、「女性の屈辱的な表情に興奮を覚える」という性格付けになっているところも笑える。

感傷ムードがダラダラと続くため、「緊縛もの」としての見世物感覚は希薄だが、マゾヒストであるがゆえの生き地獄がきちんと伝わってくるし、下元史朗の役者力を堪能することもできる。まさに洗練された倒錯ドラマの到達点。
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