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エクストリーム・ジョブのkissenger800のレビュー・感想・評価

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)
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たとえばクライマックスで主人公が「俺たち零細業者は」って啖呵を切るところあるんですけど、ニュアンスが喜劇効果(おまえ商売人じゃなくて刑事だろ)だけを狙ったセリフには聞こえないのね。
不況のあおりでフライドチキン屋をやってみたけどバタバタ倒産して借金増、って地獄絵図が現実にある国のひとたちに、あそこはどう響くのか。

あと印象に残ったのも同様の「笑いのためのフリのシーン」で、刑事なんかやめて退職金を元手に小さな店でもやりましょう、って奥さんに慰められ号泣するところがありまして。
ただのフリならもうちょっと短くするとか、次のシーンを観客が想像しやすい泣き方にすると思うんですよ演出。
いや、これ、ただの名演になってますやん。
それこそチン・ソンギュ(料理長ね)に同じ役をやらせてみたら自然にコミックになるところ、撮り直さず、あえてこの状態で残したのは何で。そもそもリュ・スンリョンは何を考えてこうやった。

……そんなこんな、このテーマでコミカルにまとめあげろ、が世の総意なんだとすれば、その期待には十分応えているものの、ちょっとした異物混入めいたシーンこそが興味深い作品でした。
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