るるびっち

最高の人生の見つけ方のるるびっちのレビュー・感想・評価

最高の人生の見つけ方(2019年製作の映画)
3.2
アイドルはがらんどうである。
そのアイドルを、70過ぎてもしている吉永小百合。
70過ぎてウエディングドレスが、結構可愛く見えるなんて、本当に根っからのアイドルだ。
その反面、がらんどうだから吉永小百合に人生を描くことはできない。
本作でも人生を描いてるのは、相棒の天海祐希の方である。
吉永さんは人形のように色んなことにチャレンジして、色々イケてる写真を撮りましたってだけである。
無能な夫や引きこもりの息子。妻におんぶに抱っこの男たちに対して決断を下すのではなく、幼稚園の先生のように優しくよく出来ました~、と許すだけだ。
アイドルが鬼畜な顔をしてはイケないし、出来ないから。

彼女に生々しい、老女の重み・痛みを演じることは出来ない。
がらんどうだから。
調子よくイベント話をつないで、最後はなんとなく上手く丸め込む感じで終わっているだけ。
でも演出が手堅いのか、何となく良い話に感じる。

夫や息子のために生きてきた、だから最後は自分のために生きるって言うのも結局はうやむやになっている。
12歳の女の子が書いた「やりたいことリスト」をこなす。
最後まで自我は出さない。アイドルだから。要望に答えるだけ。
12歳の女の子がやりたい事を、70歳役の吉永さんがやる。
アイドルだから、可愛く見えるということで映画として面白みはある。
アイドルである吉永さんをどう使うかに関しては、成功している。
そして、がらんどうである吉永小百合をどう使うかに関しても成功していると思う。
るるびっち

るるびっち