エイデン

MANRIKIのエイデンのレビュー・感想・評価

MANRIKI(2019年製作の映画)
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駆け出しのファッションモデルをしているある女は、なかなかオーディションにも通らず、スーパーのレジ打ちのバイトで生計を立てる日々
プライドだけは高い女だったが、本人は顔が大きいことを気にしていた
バイト終わりに恋人と喫茶店で合流した女は、整形で顔を小さくしたモデルが成功していると愚痴をこぼす
自分も整形をすれば顔も小さくなり成功するのではと相談する女だったが、恋人は親からもらった身体をいじくることに反対し、それも個性の一部だと反対する
相談の意図は慰めてほしいだけだと言う女の言葉で、ようやく恋人はそこまで顔が大きくないとフォローを返すのだった
その時 喫茶店に1人の男が入ってくると、何故か女の目は彼に釘付けになり、彼に顔をいじられるという妄想をする
女はその後も、オーディションで小顔を褒められる他のモデルが気になったり、街中ではあらゆるものに「顔デカ」と嘲笑われるような幻覚まで見るように
日に日にコンプレックスへの強迫観念が強くなっていく女は、ある日 同僚のモデルから合コンの数合わせに誘われる
そんな中 1人のモデルが不自然に顔を隠しているのが気になった女は、床にそのモデルの鼻が落ちていることに気が付く
活躍しているモデルも所詮 整形していると知った女は、その鼻を拾い上げトイレに流して嘲笑う
その帰り道 タクシーに乗り込んだ女は、田舎から出てきたという運転手がもたついているのを見て口汚く罵るが、それも同じ田舎の出身である自分のコンプレックスに対する裏返しだった
母親からの心配の電話も無視する女だったが、職場のスーパーでも強迫観念に駆られた女は鏡を叩き割ってしまい、とうとう小顔矯正を行うことを決意する
以前から気になっていた“万力美容クリニック”を訪れた女は、そこで喫茶店にいた男と再会
彼はこのクリニックの整顔師で、女はその整顔師に促されるまま小顔矯正を行うことにするが・・・



俳優の斎藤工や芸人の永野、ミュージシャンの金子ノブアキらによる映像制作チーム「チーム万力」のブラック・コメディ映画

元は永野がファッションイベントに出演した際に感じた違和感から着想を得て作られた作品とのことだけど、内容がエキセントリックすぎてそちらにばかり目が行く

小顔に憧れる新人モデルと、美人局カップルを登場させる2部構成でストーリーを展開しているものの、ぶっちゃけ本筋の物語も無いので追いづらい
とりあえず独自の哲学で女性の顔面を万力で締め上げるという脳筋小顔矯正をする斎藤工が暴れ回ることだけに集中するべきかな

コメントでも明言されてるようにジャンルやテーマも鑑賞者に委ねる系の作品なので、それぞれ好きに解釈して良いのかなとは思う
個人的には『永遠に美しく・・・』みたいなルッキズム、美への執着という醜さ、滑稽さ、人間の内面の美醜についてがテーマかと思った

エキセントリックかつとことん前衛的
実験的な映画ではあるので、評価はかなり否定的な側に傾きそうだけど、個人的にはそういうチャレンジングな作品嫌いではない
かなりブッ飛びながらも美学を貫いてる感があって好感は持てるかな
ラッセンより普通に好きでした
エイデン

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