けーすけ

台風家族のけーすけのレビュー・感想・評価

台風家族(2019年製作の映画)
2.8
鈴木一鉄はある日銀行強盗を行い2,000万円を手にして、妻の光子と逃亡、失踪した。それから10年が経過し、一鉄は失踪宣告による死亡として扱われ、強盗事件も時効を迎えた。事件によって人生が狂わされた一鉄の子供たち兄妹は形式上の葬儀を行い財産分与をしようとしたが、長男の小鉄が「遺産は全て自分が受け取る」と主張し始め、話は思わぬ方向へ動き出す・・・







タイトルからは中身が全然想像できない映画ですねー。
父親が起こした銀行強盗事件から10年、兄妹たちの遺産相続の話を中心に描いた8月18日。夏の1日の出来事。



長男・小鉄を草彅剛、次男・京介を新井浩文、バツイチ長女をMEGUMI、三男が中村倫也が演じます。そして小鉄の妻役に尾野真千子、娘が甲田まひるという、なかなかアツイ配役です。



草彅剛がやさぐれた演技っていうのもなかなか貴重かも?彼はとにかくお金に執着しており、言動や行動がとてつもなくゲス&クズ!笑
実の娘に「ちゃんと自分で稼いで自立しなよ」「(父親の)最低がどこかわからない、沼、底無し沼」とまで言わしめるクズっぷりを発揮しています。
一応その行動の裏には理由があるのですが、それでも一社会人としてどうなのよっていう嫌な役の演じ方は見どころの一つですね。


次男役の新井浩文、、、。本作が劇場公開、DVDとして発売された映画としては最後になると思われるので、ある意味貴重です。演技も悪くなかったのになあ。バカな事したもんだ。


MEGUMIは映画『ひとよ』同様に良い存在感で、そこそこに音が生々しい濡れ場もありました。グラビアアイドルやってた頃にはこんな役者になってるなんて想像してなかっただろうな…。


そして最近個人的に大注目の中村倫也。途中からの登場なのですが、相変わらずのカメレオン俳優っぷりの好演。実年齢的にも他3人の中で一番年下ですが、それ以上の“末っ子感”をビシバシと出しており思わず「かわいい…」と声に出てしまった。善きです。


尾野真千子は自然体でソツなく溶け込んでいて強い印象は無かったのですが、それはそれで凄い事ですよね。マイペースに素麺を頬張ってる顔がキュートでした。


長男・小鉄の娘役・甲田まひる。本作観るまで全然知らなかった女優ですが、三白眼なジト目でずっと冷めた感じで周りを見ている演技がとても印象的でした。調べたらジャズピアニストなのですね~!冒頭にピアノを演奏しているシーンがあり、物語にも少し関わってきます。尾野真千子に並んで本作で一番マトモな人物。笑




劇中の大半は彼らの実家において起きるドタバタ劇で、ある種のホームコメディ。
父親が起こした銀行強盗は素人目に見ても雑なもので「なんでこれで捕まらないんだ?」という疑問が頭をよぎりますが、その謎も解き明かされる作りとなっておりました。

中盤までは草彅剛のブっとんだキャラ&演技が物語の推進力となって、内容にグイグイと引き込まれます。
ただ、終盤の見せ方は好みが分かれそうで、僕にとっては失速というか墜落撃沈。
失踪していた両親がありえない姿(というか状態?)で出てきて、そこからのシーンは興ざめになってしまいました。

それまでギリギリでシリアスな部分を保っていたのに一気にファンタジーになってしまったのですよね。重苦しくない、家族の再生物語ともとらえられるのですが、振り切り方が刺さらなくて残念でした…。


タイトル通り、最初から最後まで台風のようにゴオオオォォ!っと吹き荒れる勢いある映画なのでサクっと観られると思います。



2021/02/03(水) TSUTAYA DISCAS定額レンタルにて鑑賞。
[2021-014]
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