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台風家族のtakerattaのネタバレレビュー・内容・結末

台風家族(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2019年作品


しばらく観ないようにしてた作品。
少し気合入れ、プライムビデオにて鑑賞

--

キノフィルム、割に好きな映画が多い。
評は甘めには書かない。

受難と難産な作品だったろうと感じました。

罪を憎んで、人を憎まずなどと言う言葉も世の中には有りますが、被害に遭われた女性の事を考えると、観ようと思えなかった。
(芸名 新井浩文 被告 強制性交 実刑 (懲役4年, 但し控訴審前に被害女性と和解有))


自分の体調があまり良く無い日が続き、観ないままになるのも、情けなく気合い入れて観ました。


ひと口に、命ってどうあるものなのか?は、世代や、社会的ロール(役割)や、その人の生きてきた生育環境や、受けた愛を、他者へ愛を注げる人になれるか?なのかなと、
我が身も振り返り考えるきっかけになりました。


2023年で観ると、世間体を鑑みての近親者のみの葬儀に、空の棺桶で出棺するわけがないのと、
仮想葬儀って表現も微妙。

VR葬的な印象を受けてしまう。

事実、コロナ禍あって、そう言った葬祭サービスも実在するわけで。

ストーリーの順番を、パズルのように入れ替えて、紐解く流れになって展開する現実に、

子供たちの成長、進学や、就職、結婚や離婚、
孫の誕生や、
自らたちが、祖母祖父になり、
病い、闘病、在宅看護、在宅介護、老老介護問題、
高齢者宅への振り込め詐欺問題、
再婚や、婚活、愛とsexと、カネと、遺産分割や
事件の時効や、時効の前の督促訴訟による時効の延長など、

かなりなボリュームの現代的テーマを盛り込んでいて、見応えがある。
見応えがある分、消化し切れるように、鑑賞者を引っ張って行けてるか?は、
後半少し、はてながつく感はあった。

主演の草彅剛さんの、お苗字は、草なぎと
ひらがな漢字混じりになってるなーとか

準主役で日本アカデミーで助演男優賞まで受賞して、お隣の国でも、在日3世が映画賞受賞は
かなりな喜びとして受け入れられていて
からの、私生活での、性風俗への女性への
乱暴狼藉は、本作品が事実上の、業界引退作になってしまっていたりして

世に出ないお蔵入り作品になるかと思っていただけに、ポスター他キービジュアルや、予告編からは、被告の姿が消され
作品内はカット無しで、残せた作品としては、
この存在意義の重みを感じるがゆえ、

メンタル弱い自分が、被害者のお辛い状況を知っているのに、観て耐えられるか?!が、自分は自分の心の強さに、不安だった。

何とか観ました。

多分白骨は、ふわふわと川面を流れたりはしないと思うけれど。どんなに骨粗鬆症であったとしても。

老いた父で葬儀屋の頭領は、何故、銀行強盗をしてまで、カネを奪ったまま、
重度認知症の妻、主人公の母を連れ、失踪したのか?

その秘密を知っていたりして、種明かしを長男は一族連れて、
謎の女も連れ、白骨を追う。

理想な家族像が、人それぞれにあるならば、
胸に響くのかな?

完璧な父母や、パーフェクトな夫婦も、カレカノも居ないよね?!

だけど人って自分の、こうあって欲しいを他者に押し付けちゃう。
不満があると、毒吐きサイトに、旦那デスノートみたいにして、
仮面かぶって生きようとしちゃう。。。

ITの進化ってそういう使われ方で良いんだっけ?!ってインフラを作って来た自分たちの
何だろう、底辺というか、
社会のプラットフォーム側から、皆様の生活の、下敷きに敷かれる仕事を、黙って担う側からみると、

贅沢な悩みにも感じる時がある。
彼氏嫌いじゃないから不満も出るのでしょうし
そもそも彼氏居られるじゃん!ハッピーじゃんって。

捨て子育ちが生まれ育つ、他人の中で、居場所無い所から、先ず居場所を正しく作る。
そういうことは、親がして下さってるだけでも
すごい素晴らしいじゃん。

葬儀する親居たじゃん、相続争いする兄弟居たじゃんとね。

何にも無い人より、奪える財産も有れば、
負債相続もあってねって話し。

支離滅裂っぽいラストには、結局家族愛なのかな?メルヒェンチックに終わった、ぶつ切り感が
一番若い孫役の、女子高生の
「最低」という言葉と、明け方の海と、台風の雨風に濡れた、屈託ない笑顔で、カットアウト。

そういうストーリーを、ノベライズされた、
監督ご夫婦での、朗読会があり、
あの2,000万円の行方は、活字で分かるようなつくりなようです。

事件が2019年末、被告が出所前とあり、
思い切って観ました。

監督の、別作品に、とても面白かった、
犬も食わねどチャーリーは笑う
という、こちらもシニカルな夫婦をテーマにした

旦那デスノート的なストーリーが
私にはハマったので、
併せて観て、いいシナリオ書くなぁと感動もしてる。

人種差別や、在日外国人偏見無ければ、
ご覧頂きたい。

草彅剛さんの、中々な多彩な役者ぶりや
あら、MEGUMIさん、お色気も頑張ったのねと
演者総立ちで、長台詞、

甲斐甲斐しく妻の介護に努める夫で父役は、
藤竜也さん。

ポマードで決めた髪型でない、
ぼわっとした乱れ髪で、最初どなたか分からない感じが、
そっと控えめながら、家族や認知症の妻のためと、生きた姿を演じていて、そのシーンたちを観るのに、涙を堪えられなかったです。

作り手の、力の込め具合が、確かめられる作品になっていると思います。

台風で暴風雨のシーン、朝方の浜辺のシーンで
砂浜を全力失踪など、

演者さまも大変だったろうなと思います。

見応え有り。

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第62回 ブルーリボン賞
助演女優賞 (MEGUMI) (『ひとよ』とあわせ)


監督・脚本 - 市井昌秀
製作総指揮 - 木下直哉
プロデューサー - 武部由実子、中林千賀子
ラインプロデューサー - 傳野貴之

撮影 - 灰原隆裕
照明 - 谷本幸治
録音 - 田中博信
美術装飾 - 大藤邦康
衣装 - 渡部祥子
ヘアメイク - 永嶋麻子

編集 - 森下博昭
音楽 - スパム春日井
主題歌 - フラワーカンパニーズ「西陽」
スクリプター - 川野恵美

助監督 - 吉田和弘

制作担当 - 高橋輝光
製作 - 木下グループ
配給 - キノフィルムズ
制作プロダクション - キノフィルムズ、ブースタープロジェクト

興行収益 : 2億5,000万円
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