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台風家族のharunomaのレビュー・感想・評価

台風家族(2019年製作の映画)
1.0
露悪派とは、クズをそのまま取り出してむき出しの人間模様をおもしろおかしく世間に提示することではなく、クズをそのまま取り出してむき出しの人間模様を提示する物語内容を、非中枢的な知覚もショットの持続も可憐な音もなしに、形式を言説と履き違えるままに、監督の自己言及がそのまま社会の同時代性と共通前提であると妄想する最大限の馬鹿が、飲み屋で思いついたネタをそこそこ金をかけて、やはりゴミような画面の連鎖と、居た堪れない人間コントの野暮で煩い演技と醜さ、一昔前のシチュエーション的音楽を軸に、ストローブの『シチリア! ひどすぎる、世界を侮辱するなんて』そのままのコピーをぶつけてもいいと思えるほどに、人間過剰への究極の侮辱とは、そのまま小津への最大限の侮辱であり、到底許し難いような輩がつまり露悪派の映画である。覚悟もなしに世界を舐める中学3年生のレベルだ。

そのレェファランスがある時代のネタのタランティーノだったり、現在形のアホヨーロッパ知性のデュモンやら、独特の世界観に篭るリンチやら、一つも画面を思い出せない移民デイミアン・チャゼルやら、カメラマンを連れ立ってショットなしにシネマを愚鈍な似非加速主義へ向かわせるシニシズムなカナディアンのドゥニやら、作家として何でも売りつける無双テンパーのポンジュノ、履き違えたブレッソン受容とジャームッシュ受容までと、てんで意味不明な歴史認識のもとに作られている。むしろこのような映画作家をスーパーバイズする人間が必然である。アルチュール・ランボーである。
とりあえずは、小津、ムルナウ、フォードと言っておけば、このような露悪派のクソ人の映画には遭遇することは今後ないだろう。
この監督が井戸に落ちて溺死していることを真に願っている。その方がアメリカの夜よりも面白いだろう。
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