シネマスナイパーF

おいしい家族のシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

おいしい家族(2019年製作の映画)
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極めて真面目に作られた幸せな映画
この一言で充分な気もする
感覚と教養に満ちている方がちゃんと自分の手で自分の作品として作り上げている


まずオープニングから「色に拘ってますのでよく観察してください」と宣言
そしてスムーズに本編スタート
その後、どうやら飯すらあまり楽しめないらしいという夫婦間を見せられ、人の二倍苦い思いをしている燈花が帰省後、ひとりだけ状況を「飲み込めない」人物になっている
人物模様を食べ物や飲み物で表現している
的確ですね

各登場人物にテーマ色をつけているのが顕著なように、それぞれの人物への肉付けがこれまた良い
板尾さんが素晴らしいよな
あの人が「母さん」って言うたびに、あっいいなって思う
いい感じに力が抜けていて隠れてはいるが芯はしっかりしてそうな風体を見事に体現
松本穂香さんは少し垢抜けない感じありますが、疲れた女感はここ最近で一番でした
てか大ファンなのでどんなことしてようと好きです

瀧とダリアの青臭さも、燈花にとって実際抵抗があったのは何だったのかという問題、そして幸せの形のひとつとしていい
ひとり異国のアジア系の女性が何故か混ざってるとそれだけでワクワクできそうだとメランコリックを思い出しました
和生が「家族が欲しかったんだよね」と言ったところで思わずホロリとしてしまいました

音楽もいいですね
滅茶苦茶オシャレなのにうざくない
心地いい
劇中最も印象的なシーンのひとつ、ここで特にハッキリとは言いませんが、あの一瞬の夢というか幻覚というか、たまりませんな
どんどん幸せな気分になる映画でした


ふくだももこさんの次の作品にも期待したいです