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ボーダー 二つの世界のバロウズのレビュー・感想・評価

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
4.3
外見にコンプレックスを持つ女性が幸せを掴んでいく…みたいなありきたりな話を想像していたけれど、良い意味で裏切られた。

内容は完全にファンタジーなんですが、チェンジリングとか幼児ポルノとか現実的なテーマも絡めてくるあたりが斬新。
特殊能力を使って犯罪捜査に協力する展開とか超ワクワクした。ハリウッド映画だったら絶対美男美女の勧善懲悪ヒーロー物になってただろうな…

苔むした原生林の中で繰り広げられる醜悪極まりないセックスシーンとか確かに強烈なんだけど、そもそも美醜の概念って誰が決めたんだ?虫食べる事の何が悪い?「普通」って一体何?
ネタバレになるからあんまり言えないけど、『こういう生態なんだ』と観客に一線を引かせる演出が上手いと思った。

不思議だったのが、周りの人間が主人公の外見を全く気にせず接しているところ。
普通だったら外見を嘲笑されるシーンとかあってもおかしくないんだけど、登場人物誰も主人公を露骨に差別するようなことはしないのが印象的。
そこも「人」と「人ならざる者」の境界を曖昧にし、ラストの主人公の決断にも説得力を与えている。
綺麗事かもしれないけど、外見や文化が違うというだけで差別したり、それに対して復讐でやり返そうとするような世界はやっぱり間違ってるよね。
同じ原作者の「ぼくのエリ」と共通している部分も多く、なかなか考えさせられる。エンディングの余韻がハンパなかった。

ちなみに配信レンタルでは例のシーンにしっかりぼかしが入っていて何がなんだか分からなかった。劇場で見とけばよかったと本気で後悔。
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