豚肉丸

重信房子、メイと足立正生のアナバシス そしてイメージのない27年間の豚肉丸のレビュー・感想・評価

4.2
重信房子の娘重信メイと映画監督の足立正生が日本赤軍にまつわる背景を語るお話

足立正生監督作である『略称・連続射殺魔』を見ていないため声高に語ることは出来ないものの、「そこにいた証」として風景を切り取った映像としてかなり面白い。映画内で語られるように『略称・連続射殺魔』は永山則夫が生きていた風景を切り取ることで日本社会の閉塞感を映し出そうと試みたらしいが、本作もまた同じ手法を取っており、重信メイと足立正生が見てきた風景を切り取ることで彼ら彼女らが確かに生きていた跡を切り取ることに成功しており、途中途中で足立正生監督作品のフッテージが入ったりするのも含めてなかなか面白い映像に仕上がっていた。

正直言えば安保闘争にも日本赤軍の思想にも一切同調できる要素は無いのだけれど、本作は決して日本赤軍を賛美するような内容ではなく、「当時何を考えていたのか、どんなことをしていたのか」を語る内容となっている。(『レッド』に近い?)
しかもそれが映画監督である足立正生の視点で語られるのが新鮮で、尚且つ話される全ての内容が(今の基準で考えれば)かなりぶっ飛んでおり、ナレーションと風景映像だけで構成されたミニマムな映画ながらも面白い内容になっていたので良かった。

かなりジョナス・メカスっぽい。
豚肉丸

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