Yoh

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイのYohのレビュー・感想・評価

3.8
2021年公開SFアニメーション。原作は1989年から富野由悠季監督が書き上げた小説…まさかこの令和の時代に、平成元年出版の小説が映像化されるとは(汗

「閃光のハサウェイ」…自分にとっては懐かしい名前です。中学校の図書室に何故か三冊(原作は上中下巻で構成)が所蔵されていました。登場人物、衝撃的な結末、冨野監督の独特のタッチと美樹本氏が描く挿絵。そして解説に描かれたMS達・・・今まで知っていたガンダムとはあまりに異質なそれを、貪るように読んだのを覚えています。今思えば、当時はあまり話題にも挙がらなかったであろうテロリズムを見据えた内容に、冨野監督の先見性が垣間見れますね。

さてそんな(面倒くさいタイプの)「閃光のハサウェイ」読了者の観点からの感想ですが・・・良かった!いやまさか令和になって、動くクスィーガンダムとペーネロペーが映画館で観れるとは思いませんでしたよ。しかも本作ではだいぶ小説版の意匠を盛り込んでることもあり、「コレジャナイ感」は薄かったように感じます。また最近のガンダム作品に特徴的な「現代の延長線上にある宇宙世紀」を意識したシーン(空港や爆撃シーン)も見事に表現されており、単なる小説の映像化ではないことにホッとしました(単に小説を映像化しただけなら、小説を読めば良いわけですからね)。しかし、途中途中のカットがかっこいいこと!宇宙を写すオープニングで私は痺れましたよ本当に。

さて一方で、本作は小説版の取っ付きづらさが際立ってしまった感じもあります。あまり説明口調がない登場人物の会話は正直、ガンダム初見の人やこういう会話に慣れてない方々には難しいものがあるかと。しかしまぁ、別の見方では大人の鑑賞に耐えるガンダムといって良いと思います。
あと一つ、クレームを言うなれば…ギギ・アンダルシアかなぁ。私は美樹本晴彦氏版の髪パッツンスタイルが好きでしたし、あれはギギのアイデンティティを如実に示したデザインだと思うんですよね。リファインされたギギも素敵でしたが、ちょっと不満は残りました。また登場人物の中で、ハサウェイだけ浮いたデザインなのもちょっと×。やるなら徹底的にやってもらいたい。という訳でこのスコアです。あ、でもケネス大佐は良リファインだと思います(ぇ

脚本、ストーリーについてもまだ序盤ですので、あまり言わないことにします。本作の真骨頂は下巻、後半にあると思いますので。そういう意味では本作はまだオープニング。これからを期待しましょう。
…でも最後のシーンで、結末を知る者としては少し泣けてきましたね。ハサウェイ、彼の行く先は…
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