Hideko

パパは奮闘中!のHidekoのレビュー・感想・評価

パパは奮闘中!(2018年製作の映画)
4.0
原題: Nos Batailles
英題: Our Struggles

本作のポスター。本国版、英語版、日本版を見ましたがともに基本的には同じであるものの、ロマン・デュリスが子どもを抱き上げている感が強く現れている本国版、英語版の方がより素敵です✨

と、前置きはさて置き、この邦題…。原題、英題共に直訳は「私たちの戦い」。
邦題付けは難しいことを承知で言えば邦題の『パパは奮闘中!』はどうなのかと。本作はコメディ-ドラマに分類されている為邦題では何とはなしに感嘆符(!)が付けられたのでしょうか?肝心の邦題ですが、手持ちの英和辞典では”struggle”を引くと最初に動詞として「奮闘する」と出てきます。その辺りからこの邦題が付けられたのかなぁと。

観れば分かりますが奮闘しているのはパパだけではありません。家族や家族を気にかけてくれる人々全員です。

ロマン・デュリス演じるオリヴィエには、妻のローラが家出した途端に今までの仕事のみと言ってもいい生活から新たに家族の世話、家事の切り盛りという役割が課せられます。娘のコアラのセーターがどうしても探せない、食事はシリアルばかり…。フランスの家庭事情ももちろんその家庭それぞれでしょうが家事参加が疎かだったと言わざるを得ないかもしれません。それに困っている兄のオリヴィエを手伝いに来てくれた実妹の事情を考えず浅はかな発言をしてしまいます。

妻のローラは職を持ち家事もこなす母親であり妻でしたがある日職場で倒れてしまいます。ローラは二回程だったか精神科への通院歴も明らかになります。はっきりとした描写はありませんでしたが仕事と家庭の両立や何やらでかなり疲れていたと思われます。

そんなローラがある日突然家出をしてしまう…。子どもたちへ溢れんばかりの愛情を注いでいたにもかかわらず…。

そんなローラのギリギリの決断に至る過程につゆとも気づかなかったオリヴィエ。

とは言え、オリヴィエは職場では同僚に温かい同情の気持ちを寄せ、高給となると言われた人事の仕事も易々と受ける訳ではありません。基本的にはとても思いやりのある人物なのです。

子どもたちが行方不明になった時の動揺や流した涙。彼らが帰ってきた時に見せた最高の笑顔。その笑顔を見る為に本作を観返したいと思う程です。不器用ではあるけれど立派な父親であることに違いありません。ただ、ローラをあれ程までに思い詰めさせてしまったことが大きな失敗だったでしょうか。

本作は普遍的なテーマを取り扱っているので各国で共感する人も多いことでしょう。
ただ、日本版ポスターの「『クレイマー、クレイマー』の感動から今ー」は違う気がします。本国版、英語版にも書かれているのか、そうでないのかは分かりませんが。

ラストは家族皆で「これから」を決断します。オリヴィエも子どもたちも成長したようです。ラストのカットからエンディングへの向かい方、とても好きです。未来は分かりませんがこの一家にどうか幸せになって欲しいという気持ちでいっぱいになりました。
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