ちろる

白昼の誘拐劇のちろるのレビュー・感想・評価

白昼の誘拐劇(2017年製作の映画)
3.6
Bはジャンに確実に近づくために、ブロバーグ家を少しずつ、少しずつ壊していった。

長女のジャンに執着して、言葉巧みに家族に近づくB。
仲良くなって2年経ったある日、Bが自分の自動車でジャンを乗馬に連れて行き、その夜から帰ってこなくなる。この時点で事件なわけだが、家族は通報しない。
5日たってようやく警察に行きその時はもう取り返しのつかないことになっていた。

誘拐の内容は睡眠薬を与えて、虚の中、誘拐犯を『宇宙人』にするという素っ頓狂な内容なのだけど、その内容はトラウマをあたえるのには十分で、この一度目の誘拐が、ジャンを引き続き苦しめることになる。

今の時代ならば、かなり無防備なブロバーグ夫婦の行動だが、このころは「児童性愛』という言葉もなかった。
そのせいで、皆がこの誘拐の本当の持つ恐ろしさに容易にたどり着くことができず、ジャンは深い傷を負うことになってしまった。

普通ならこんなやばい隣人、すぐにでも告訴するべきなのだが、夫婦は告訴を取り下げて連邦起訴を台無しにする。
その理由となるゾッとするような事実をこの夫婦は告白する。
Bは夫婦それぞれにとある後ろめたさを与えて、ジャンだけでなく夫婦までも支配していたのだ。

誘拐劇について語るのは、誘拐された張本人ジャンと、その妹、そして両親。
よくぞここまで赤裸々に告白したものだと驚愕する。
彼らの意を結した告白が、Bと言う男のサイコパス度を炙り出し、事件のシルエットを炙り出してくれた。

それにしても罪が軽い。
ここまでのことをしてなぜに5日間も通報しないでいられるのだろう・・・
ちろる

ちろる