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ミス・ブロディの青春のミシンそばのレビュー・感想・評価

ミス・ブロディの青春(1968年製作の映画)
4.6
過去鑑賞。
鑑賞記録をまとめているExcelを再確認したら、その日は昼に「ミッドサマー」を観て夜にこれを観ていた。
GEOで借りて来た作品だったが、今でも覚えてる。
当時の自分の想像と期待を最も痛快に裏切った映画だったことを。

30年代のエディンバラの女子校に、進歩的な教師ブロディが赴任してきて、その型に嵌まらない教育方針で以て生徒からの信奉を集めるが…このあらすじだけで判断するとアリがちな教師・生徒ものかと思う(自分も結構そう思ってた)。
でもブロディ先生の“思想”が強くなってきた辺りから随分作品の空気も変わっていき、何だか彼女の底がどんどん知れてゆき、思想の熱に浮かされた人間特有の近視眼をわかりやすく発揮していて、この人は随分邪悪だが、俯瞰視とかできないだろうから一生その事に気付かないんだろうなあって傍から見ると思わざるを得なかった(特に、ちょっとトロ目の女子をずっとフルネームで呼ぶ見下しともフルネームでしか覚えていないとも取れるムーヴをひどく覚えている)。
“凡庸な悪”、とまではいかないかもしれないけど、人が熱狂で近視眼になる様と、その存在によって少女が時勢などを俯瞰視して、大人になってゆく様、それを見せつける映画として、非常に見ごたえがあった。

観てる時は最後の最後まで評価をメチャクチャ迷っていたけど、ブロディの最後のセリフが決め手になって、当時の自分はこの点数を付けた。
たぶん当時の採点基準は今ともちょっと違ったと思うけど。