はのか

劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel Ⅲ.spring songのはのかのレビュー・感想・評価

4.0
HFをプレイした時に感じたのが、どうして桜だけこんなに我慢をして、理不尽に耐えて、耐え抜かなきゃならなかったのか、
そしてそれをどうして弱いだの卑怯だの責められて、罪を償え、私は知らない、と言われなくちゃならないのか…という怒りだった

まず桜は、遠坂の妹に生まれたというだけで間桐に養子に出されている
これだけでもしんどいのに、
さらに蟲蔵に入れられて
祖父から操られ兄から性暴力を受けている
食事に毒も盛られ意思など踏み躙られている
もう、桜には理不尽すぎる環境しかなく、逃げ場もなく、無力感や諦めを感じると思う
この無力感や諦めというのは、実際に体験した人でないとわからない絶望感というか失望だと思う
暴力と性暴力の決定的な違いは魂の尊厳であると思っていて、暴力では心と体が傷つくのに対し、性暴力では心と体と魂が傷つき、性暴力の前では人間の尊厳さえなくなりただの棒や穴、メスやオス、とさせられてしまう、この酷い屈辱を、経験したことのない人にどう説明したらいいか、私にはわからない
だからこそHFだけは後で補足するか、初めからPC版をプレイしてほしい、と思う、桜の苦しみは性暴力にも起因しているからである

耐え抜いてしまえる強さを桜は持っているのに、誰も「よく頑張った」と褒めてくれないことが、私にはすごく辛い

被害者が加害者に転じることは良くあることかつ許されるものではないが、
先に罪を犯したのは桜ではなく、臓硯であり、慎二であり、遠坂であり、魔術師だ
いくら隣に士郎がいたとしても、桜一人に罪を償わせるのは納得いかない

桜のヒーローは凛で、
眩しくて強い凛のようになりたくて、
一度でいいから勝ちたくて、すごいわねと褒めて欲しかった、凛のように士郎を守りたかった桜の精一杯を、私は抱きしめたい
「知らない」なんて言いたくない
「償え」とも言えない
私はただ、桜を抱きしめて、「辛かったね、もう大丈夫だよ」と言い、「一緒に生きていこう」と決意したい
はのか

はのか