Foufou

トロールズ ミュージック★パワーのFoufouのレビュー・感想・評価

2.0
音楽を糧に生きる小さな妖精たち。それがこのシリーズのトロールである。今作は第二弾。前作ではトロールたちを食さなければ幸せになれないベルゲンなる生き物?妖精?が対置され、子ども向けのお話はこのくらい残酷なほうがいいと好感を持ったものでしたが、今作はいかに。

トロールに伝わる神話が今作はベース。①昔々トロールの国は6つに分かれていました。②元始、世界は灰色でした。③あるとき、トロルたちは6弦の竪琴を見つけ、思い思いの音楽を奏でることで世界に彩りを与えました。④やがて、自分の国以外の音楽を聞くことにトロールは耐えられくなりました。⑤そして、竪琴を巡る争奪戦が勃発しました。⑥そこで神様は竪琴の弦を一本一本、各国の統治者に分け与え、世界は再び平和を取り戻しました。

さて、トロールの世界は再びの危機に見舞われています。ロックの国の女王が各国の弦を奪い取り、ロックによって世界を統一しようと画策しているのです。ジューダス・プリースト以来の鋲打ち革ジャンに身を固めたモヒカン軍団が、かくして各国のパーティータイムを急襲します(ロックというよりメタル)。ロックに分の悪い作り。ちなみに主人公は、ポップの国のトロールたち。

音楽を6種に分けることなど可能なのかという議論はさておき、多様性を拒絶し、世論の単一化を図ることが「悪」であるというそもそもの設定ですね。こういうのって、日本人には根本のところはよくわからないのよねぇ…というのが本音ですが、ロックの女王がついに6弦を手に入れてエレキギターに張り、各国のトロールたちを招待したライブ会場で、いざパワーコードを弾く。さあ、そこで何が起きるかですよね。さらに、紆余曲折あって、エレキギターが破壊され、6本の弦が潰えてしまう。再び世界は灰色に染まって。そこから、どうやってトロールたちが、音楽を、色彩を取り戻すかですよね。

結論をいえば、音楽の原初の姿に迫りきれなかったかな、と。でも、子ども相手の映画だからって、なあなあで許されるってもんじゃない。音に限らず、絵でも、踊りでも、子どもたちこそそれらの純化した姿を知っている。というか、体現する存在じゃありませんか。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で弱視のビョークが機械や列車の刻む音に耳を傾ける顔を想像してほしい。やがてそれが彼女の中で音楽になる。喜びの、そして悲しみの。音の質感やリズムの差異による情動の変化に、もっと作り手が敏感であったなら、今作は傑作になったかもしれません。

それにしても、多様性の擁護より何より、上記の④ですよね。なぜ人は他者に寛容になれないのか。わたしたちの祖先であるクロマニヨン人がネアンデルタール人を滅ぼしたことはほぼ間違いないんだとか。「ちがってて、いいんだよ」と諭す前に、ちがうものに干渉しようとするタネが絶えず人の心に紛れ込むプロセスをですね、きちんと教えるべきなんじゃないかと、小生なんか思います。
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