たいてぃー

ロマンスドールのたいてぃーのレビュー・感想・評価

ロマンスドール(2019年製作の映画)
3.2
タイトルの「ロマンスドール」って何?観てみるとラブドールのこと。ロマンスってつけたのは何故?主人公哲雄の思いを込めてる、からかな。
是枝監督の「空気人形」が頭にうかんだ。人間に変身するラブドール役にぺ・ドゥナ。その愛おしさに圧倒されたのを思い出した。本作でも空気人形が出てくる。ラスト近くの浜辺で、柔道少年たちがオンボロの空気人形を見つける。そこに現れた哲雄が、この人形について熱く語る。滑稽に映ったが、妙に心に残る。
原作は未読だが、タナダ監督自身の書き下ろしで2008年に連載されたもの。映画化まで時間がかかったのは何故?どうもその後のラブドールの進化に驚き、是非にってことらしい。本作でもこの件は出てきて、素材を生かす職人技に驚く。でも技巧を駆使して本物らしく作るのはご法度で、警察が網を張っている。その刑事役に大倉孝二。その手の刑事らしく、似合ってる。
ラブドール製作会社の先輩役にきたろう。コミカルで流石にうまいね。居酒屋で語る姿に哀愁が漂う。主演の二人もいいんだけど、蒼井優は最近、熱演が多いんで、ちょっと物足りないかな。この二人の恋愛模様の微妙さを上手く演技・演出してるけど、ラブドールの製作の方に興味がいっちゃうんで、影が薄いのかな。
そして、社長役にピエール瀧。新作のラブドールの感触を確かめる手つきが、いやらしい。この役もこの役者ならでは。やっぱり、必要な人だね。