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ドミノ 復讐の咆哮のzukkiのネタバレレビュー・内容・結末

ドミノ 復讐の咆哮(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

とりあえずちゃんと作ってあった感。

漫画の『タンタンの冒険』をどこか想起させる内容だった。警察官の主人公が、犯人を追って世界を周り、最後にはスペインの闘牛場に辿り着く。

脚本はそれなりに。ある程度自分の中では許せるレベルのもの。セットや舞台設定は、想像以上に広くてかつ、ヨーロッパだからこその景色が沢山登場して満足感あった。赤と青の照明で行うロケーションは、『M:I』のプラハの雰囲気と似ていて美しい。『サスペリア』での照明ともまた違う。画面には必要な色だ。

役者は微妙。デ・パルマの世界観にそぐわない、リアル系の演技の人だったので、途中の会話シーンなど、デ・パルマと言われないと分からないタッチ。そこは残念。

最も残念だったのは、カメラワークだ。まるで素人が撮ったかのようにゆるゆるのズームアップや、何がしたいのかわからない不安定なカメラの動き、空間が論理的に構成されていない構図、稚拙なスプリットスクリーンなど。撮影は全然良くなかった。

監督がやりたかったであろうストーリーは非常にタイムリー。エンタメ風味ではあるものの、終始ISISの自爆テロを描き、そして復讐は復讐を生むという負の連鎖が描かれる。単純なプロットではあったが、リアルな殺害シーンなど、監督が伝えたいことが入った作品。スローモーションも正直良くなかったが、この自爆テロという非常にリアルな出来事に対して効果的だった。

前情報があったので期待値低めだったが、思ったほど酷くなかった。でも、もし次また作るなら、監督はカメラマンを変えるべきだ。
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