ボンドレイク

ドミノ 復讐の咆哮のボンドレイクのレビュー・感想・評価

ドミノ 復讐の咆哮(2019年製作の映画)
4.6
 メチャクチャ意味味わい深い!

 相変わらずの演出でサスペンスフルなストーリーをスムーズにみせてくれるっ。

 安心安全! そこにはいつもどおりのデ・パルマがあった!!

 なにがいつもどおりかって?!

 まず音楽!!

 担当したのは あのピノ・ドナッジオ様!!!

 これだけで妙な安堵感が心の内に広がりましたわ。

 美しく、哀愁のこもったピアノの旋律。そして、多彩な色を抱えたオーケストラサウンド。

 やや官能的にも聴こえるそのサウンドは言わずもがな、デ・パルマのセクシーな画面構成にピッタリ。“改めて”そう感じましたわ。

 そして次に、映像演出!!

 だって、監督はデ・パルマだもの。なにをやってもデ・パルマはデ・パルマなのよ。

 多焦点レンズの使用、スプリットスクリーン、過剰な光と影の強調、色っぽい色彩感覚、スローモーション、ズームイン・アウト、長回し、のぞき などなど...

 全て健在!!

 そしてそして、物語に関してもデ・パルマが好みそうな要素ばかりっ!

 相棒の死、復讐、謎の女、陰謀、負け犬組のやるせなさ...

 まぁ ただねぇ、角が取れてさらに丸くなった感じはあるのよ。

 「パッション」が 純度100パーセントのデ・パルマ映画だったので、それと比べてしまうと 多少純度が薄まったかな という印象も。

 いやぁ...でもねぇ、たしかに不満点はある。あるのだけれど、今こうして思い返してみると全てをひっくるめて 味を感じるのよ。

 暴れ具合の少ない演出も、主人公の様々なやるせなさを反映したもののように感じられる。

 社会的なテーマを持つ物語をスムーズに、雑念なく観客へ伝えるための意図という側面もあるような気はする。

 この映画で味わうべきは、個人的には 先程も記した 主人公のやるせなさ、無力さだと思う。 ミッドナイトクロスの悲哀とまではいかないけれども、虚無感は結構あるわ。

 何をしても思うようにはゆかず、もはやカタルシスを得られるようなことは何もできない。

 しかしそれでも、自身の正義と信念は貫き通し 最後には、復讐の苦さに吸い込まれた者を、 ネオンが光る 星のない夜空の下で 静かに抱きしめる。

 真っ暗な部屋のテレビで夜にでも観ていたら、どれほど感慨深いものだろうかっ!

 エンディング後のある意味 渋く、モヤモヤする後味は 今日ではデ・パルマならではのものかもしれない。

 デ・パルマ以上を望んではいけないし、往年の輝きを幻想に抱いてもいけない。 ただただデ・パルマでしかないから、観るときのハードルは 土曜の昼間、 紅茶を片手に たまたまテレビ放映していた映画を観るときくらいのものがまぁ丁度いいかなと。

 デ・パルマ! また次も楽しみに待ってますわよ! また次も アダルトで セクシーな作品を期待してますわよ〜!
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