紛う方なきデ・パルマ映画でした!
スリリングな視線のやりとり、エレベーター、スローモーション。毎度のことですが面白い演出の連続で、見る者の心を掴んで離さないテクニックの連発に感心させられます。
今回はスプリットスクリーンの使い方がちょっといつもと違うのも見どころだし、ドローンを使った面白シーンもあり、新しいもの好きでサービス精神旺盛なところが滲むのも素敵な監督です。
デ・パルマといえば「ただ見ることしかできない悲劇」ですが、それは席に座ってスクリーンを見つめるだけの観客のもどかしさと共鳴します。
この効果を完全に理解した熟練のワザに気持ちよく乗せられることが楽しい。
1シーンすら記憶に残らない映画が大量にある中で、毎回必ず忘れがたいシーンがあるというのは物凄いことだと思います。
他の監督が撮ったらまったく普通のサスペンスアクションになるであろうこの作品も、演出の力だけでこんなにも印象深い作品になるということに、改めて映画の面白さを感じました。