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ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たちのfujisanのレビュー・感想・評価

3.1
アメリカ大陸の半分の距離をひたすら真っすぐに光ケーブルで繋いで、投資で大儲けしようという話。

本業に近い話なので、前から見たいと思っていた映画でした。

アメリカのノンフィクション作家、マイケル・ルイスの2014年の著書『フラッシュ・ボーイズ10億分の1の男たち』をベースに、大規模な脚色を加えて映画化された作品。

原作が出版された当時は、ヘッジファンドによるHFTという超高速のアルゴリズム取引が問題視されており、原作はその問題点を指摘した社会もの。

ただ、映画は、取引を少しでも高速化して大儲けしようというヘッジファンド側の映画になっていて、本作のキャッチコピーとして『驚きの実話!』みたいな煽り方をしてるのは、ちょっと違うかなと思いました。



出演はジェシー・アイゼンバーグとアレクサンダー・スカルスガルド、サルマ・ハエック

一番印象に残ったのはアレクサンダー・スカルスガルド。人付き合いが苦手な天才技術者役でしたが、いとこで主人公のヴィンセント(ジェシー・アイゼンバーグ)のことは100%信頼している、心優しい男性役がよかったです。

アレクサンダー・スカルスガルドは「バトルシップ」に出ていたイケメンらしいですが、この役作りのために髪の毛を剃り落としたんだとか。いわゆる『デ・ニーロ アプローチ』というやつですかね。舞台挨拶などでは、”誰?”ってなっていたようで面白いです。

サルマ・ハエックは「ヒットマンズ・ボディガード」でサミュエル・L.ジャクソン並みに強い奥さんを演じていた方。この映画でもかっこいい女性を演じていました。

ジェシー・アイゼンバーグも良かったです。彼は「ソーシャル・ネットワーク」のいけ好かないザッカーバーグ役や「グランド・イリュージョン」シリーズなど、頭はいいけどちょっと嫌味な役がはまり役ですよね😅



ケーブルの話が実話かどうかは関係なく、『とにかく金儲けがしたいんや!』っていうハチャメチャなストーリーを期待したのですが、思ったよりもヒューマンドラマなストーリーになっていたのがちょっと残念でした。

途中で主人公のヴィンセントが重病にかかったり、工事コース上に文明を否定して暮らしているアーミッシュの村が登場し、お金にこだわる生活を見直すきっかけになったりで、原作無視して作った割には方向性がブレたかなと。

最初からヒューマンドラマと思って観たら、もうちょっと楽しめたかなと思います。



余談:
・雨が止まる
終盤、ヴィンセントが『自分の人生が16ミリ秒なら全ては止まっているように見えるだろう』的なくだりがあり、降っている雨が止まっている様になる演出があるのですが、彼が主演した「グランド・イリュージョン」の二作目で雨を止めたトリックのシーンを思い出しました。

・地球の湾曲
カンザスシティからNYまで1600km。真っ直ぐに穴を掘ると、地球の湾曲によって地上に穴が飛び出してしまう話が面白かった。




2023年 Mark!した映画:296本
うち、4以上を付けたのは32本 → プロフィールに書きました
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