たけちゃん

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜のたけちゃんのレビュー・感想・評価

4.5
"ブサイク"というのは心に育つものです!


テイト・テイラー監督・脚本 2011年製作
主演エマ・ストーン、ヴィオラ・デイヴィス


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
本日、8月11日はヴィオラ・デイヴィスのお誕生日。
と書いて、"おーっ、ヴィオラ~"ってなる人はほとんどいないかもしれません。でも、役名を言うと分かるかも。この方、とても凄い人です!


【ヴィオラ・デイヴィス】
1965年8月11日にサウスカロライナ州セントマシューズで6人兄弟の5番目に生まれる。
大学では演劇を専攻して卒業後にジュリアーノ音楽院で学んだというのですからものすごい努力家ですね。
先日観たネトフリオリジナル作品の「マ・レイニーのブラックボトム」では、ブルース歌手のマ・レイニーを見事に演じていたのですが、ジュリアーノ出身ならそれも納得です( ˘ ˘ )ウンウン

その後も舞台ではトニー賞を、映画でもゴールデングローブ賞、全米俳優組合協会賞などを受賞、今回紹介する「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」ではアカデミー賞主演女優賞の候補になり、「フェンス」でついにアカデミー賞助演女優賞を受賞しました。「世界で最も影響力のある100人」にも2度選出されています。知る人ぞ知る素晴らしい黒人俳優です。凄い👏

と言いながら、僕が知ったのは結構最近で、「スーサイド・スクワッド」のアマンダ・ウォラー役なんですよね。やっぱりアメコミ(ˆωˆ )フフフ…。ジェームズ・ガン監督の「スーサイド・スクワッド」にも同じ役で出ますので、注目してください( •̀ω•́ )و✧








さて、映画です。
この映画、とんでもなく素晴らしいんです。
アメリカの黒人差別問題や公民権運動などに関心があるなら、ぜひ、観て欲しいなぁ。例えば「ドリーム」や「グリーンブック」などで感動した人ね。


舞台は1963年のミシシッピ州ジャクソン
この1963年という年は、アメリカにおいても忘れることの出来ない1年です。
時の大統領はジョン・F・ケネディ。
1955年のローザ・パークス逮捕事件以来高まる"公民権運動"が8月28日の「ワシントン大行進」でひとつのピークとなり、11月22日にはケネディ大統領がテキサス州ダラスで凶弾に倒れました。
おまけで、たけちゃんもこの世に生を受けました(笑)
そんな1963年のお話です。



主人公はエマ・ストーンが演じるジャーナリストを目指す白人のスキーターとヴィオラ・デイヴィスが演じる黒人メイドのエイビリーン。

ミシシッピ州ジャクソンはミシシッピ州の州都です。南北戦争ではミシシッピ川を巡って激しい戦闘が繰り広げられました。白人3割で、そのほとんどがアフリカ系アメリカ人の街。人種差別主義者のアンドリュー・ジャクソン大統領に由来する街名からも差別の歴史を感じさせます( ˘ ˘ )ウンウン

1960年代は1876年に制定された「ジム・クロウ法」によって公然と受けていた差別がまさに撤廃されようとする時であり、特にミシシッピ州やアラバマ州、フロリダ州などは差別の強い土地柄でした。

この映画は、その土地で生まれ育ったキャスリン・ストケットにより原作が書かれており、監督のケイト・テイラーもミシシッピ州ジャクソンの出身で、なんと、2人は幼馴染。この土地に生まれ、育ったものにしか描けない作品だったんです。だから、フィクションではあるんですが、まるで実話のように描かれる。実際に起こった出来事が出てきますしね。



エマ・ストーン演じるスキーターは"売れ残りのスキーター"と友人に言われるような子。この当時は、白人女性も良い相手と結婚することこそが正義という感じだったのでしょうね。お母さんの接し方見ても感じますよね。
でも、エマ・ストーンが"ブサイク"というのは、演技とはいえちょっと納得いかないけど、地味だけど、そう感じさせる素晴らしい演技でした。
実話じゃないけど、すごく実話っぽい。


黒人メイドのエイビリーン・クラーク役はヴィオラ・デイヴィス。ヴィオラ・デイヴィスは作品ごとに全く違う演技を見せてくれるすごい俳優です。マ・レイニーやアマンダ・ウォラーからの振れ幅が凄すぎ。
エイビリーンは息子を亡くして気難しい人間になったと……。それでも他人の子を育て、生きていかなければならないとは。


落ち込んだエイビリーンを支えた親友ミニー・ジャクソン役がオクタビア・スペンサー。オクタヴィアはどの役を見てもリアリティが感じられ、安心しますね。今作も素晴らしかったです。
料理上手な設定で、ある事件を起こしますよ!
「わたしの クソを 食らえ!」
あとは秘密です。映画見てね(ˆωˆ )フフフ…


スキーターのお母さんはアリソン・ジャネイ
癌に侵されていて、娘の将来が心配な母。
僕はまだ未鑑賞なんですが「アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル」でトーニャ・ハーディングのお母さん役を演じているんですね。観てみよう(^-^)/


大奥様のシシー・スペイセクも良かった。
彼女も南部のテキサス州出身ですから、きっとこうした差別問題は実感として演じていると思います。


差別主義者ヒリー・ホルブルック役はブライス・ダラス・ハワード。ブライスといえば、最近は「ジュラシック・ワールド」ですが、良い人と悪人も演じられるのはすごいですね。今作のリアルは彼女の演技がとても大きいです。


シーリア・フット役のジェシカ・チャスティンには驚いたなぁ。こんな役も演じられるのね。僕らが思う白人女性ってこんな感じじゃないですか?
でも、このシーリアにミニーは救われますよ。


そして、劇中でテレビに映る"メドガー・エヴァース"は、ミシシッピ州における公民権運動のリーダー的存在、NAACP(全米黒人地位向上協会)のメンバーでした。
映画で描かれたように1963年6月12日に暗殺されました。今作はそんな死と隣合わせの時代のお話でした……。エイビリーンやミニーが怯える理由も分かります😢






最後に音ネタ💩ウンチクン\(^o^)/

エイビリーンが仕える産後うつの母親が車で遊びに行く時に流れるのは「ジャクソン」、歌うのはジョニー・キャッシュとジューン・カーターです。2人については「ウォーク・ザ・ライン」で描かれています。興味があれば、どうぞ。


そして、チャリティーパーティで流れていたのが「シェリー」で、フランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズの曲ですね。あのクリント・イーストウッド監督作の「ジャージー・ボーイズ」で描かれました。


本が出版されている場面で流れるのはボブ・ディランの「Don't Think Twice, It's Alright (邦題:くよくよするなよ)」
1963年発表のセカンドアルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」に入ったボブ・ディランの代表曲。このアルバムには、他に「風に吹かれて」などが納められてヒットし、フォークの貴公子と呼ばれるようになりましたよ。


ラストシーン、素晴らしいですよね。
エンディングで流れる主題歌を歌うのはメアリー・J・ブライジの「The Living Proof」
ヒップホップ色を抑えて、まるで黒人霊歌のように歌われます。
メアリー・J・ブライジはクイーン・オブ・ヒップホップと呼ばれるディーバで、ヒップホップのイメージですが7歳から教会の聖歌隊で歌っていた生粋のゴスペルシンガーでもあるので、間違いないですね。トム様も出た「ロック・オブ・エイジズ」でお姿も見られますよ(ˆωˆ )フフフ…


最後はメイヴィス・ステイプルズの「Don't Knock」でした。これも素晴らしいの(⑅•͈૦•͈⑅)
メイヴィス・ステイプルズは先日レビューしたプリンスの映画「グラフィティ・ブリッジ」でも書きましたが、ファミリーグループ、ステイプル・シンガーズの一員で、お父さんのポップスはミシシッピ州出身ですからね。メイヴィスのルーツもミシシッピ。
この「Don't Knock」という曲は、メイヴィスが2010年に発表したアルバム「You Are Not Alone」のリードトラックで、このアルバムはグラミー賞も受賞している名盤ですよ。



ということで、作品としてもものすごく素晴らしい今作、ヴィオラ・デイヴィスにも注目して観てください(≧∇≦)ゞ
ヴィオラ、お誕生日おめでとう🎂🎉🎊