Takato

劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明のTakatoのレビュー・感想・評価

4.0
アニメ1期、映画、アニメ2期を一気見した。手塚治虫や宮崎駿、あるいは進撃の巨人の系譜にあると聞いて鑑賞。

アビス(深淵)の底を求めて「帰って来れない」冒険に出る少女少年は腹を抉られ腕を折られて目玉が飛び出て血が迸る。まるで「子供騙し」は通用しない『ゲーム・オブ・スローンズ』にひけをとらない残酷描写。軽いスプラッター映画のようなストレス発散程度の表現ではない。『SAW』や『127時間』のようなストーリーを伴う重い残酷描写が、小さい子供に容赦なく降りかかる。「RPGの”ゲームオーバー”の先を見たかった」語るのは原作者。情け容赦のないモンスターや行ったら戻れない「呪い」が襲いかかるダンジョンは、社会のメタファーだ。会社という深淵かもしれないし、あるいはクリエイター沼での地図のない冒険かもしれない。少女少年が時に欺かれ時に仲間と出会いながら希望を捨てずに挑戦する物語は、視聴者により深い癒しを与える。

あと一点、「ふわふわした可愛い存在」がたくさん出てくるが、その中で「あなたはこのふわふわを引き裂かれた肉の塊も愛せますか?」という問いを突きつけられる。観た後には、自分より小さく儚い存在、子供、ペット、あるいはぬいぐるみを抱きしめたくなるような気持ちに襲われる。そんなアニメでした。
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